ブータンの農業は、GDPに占める割合は、建設業や電力セクター(水力発電)の著しい成長により、その割合は相対的に低下しているものの、就業人口のうち農業従事者は約62%(2012年)を占めており、依然としてブータンの基幹産業であるとともに、農村は固有の社会・伝統文化を支えるバックボーンでもある。また、貧困層の98%は農村部に居住し、農業を生活基盤としている。その多くは零細農家であり、山岳地形の厳しい環境の中で伝統的に米や雑穀・芋類・唐辛子・青菜等を中心とした自給自足的な粗放農業を営んできたが、近年の開発の進展によって自動車や携帯電話、耐久消費財などが農村部にも浸透するなかで、生計維持にはより多くの…