2016年7月7日
プロジェクトはバジョ農業研究開発センターおよびチラン県のミトゥン サブセンターを拠点に各種園芸作物の試験栽培・種苗生産・普及を行いますが、バジョ センターは従来から穀類の拠点センターであり、園芸作物に関しては余り事業が行われておらず、圃場は小さく分散し、一部は荒れていました。プロジェクトによる普及活動の根幹となる多種多様な園芸作物の栽培と種苗生産を効率的に行うためには、まずこの圃場整備から始める必要があります。
一般にブータンの政府機関ではこうした圃場整備は外注で行うことが多いのですが、実際の栽培作業に従事しない土木技師による机上の設計では必ずしも作付けの利便性・作業効率を考慮したものとならず、また公費発注工事は費用が膨大になるだけではなく、ともすると遅延や予算枯渇よる中断も珍しくありません。
プロジェクトでは限られた予算・期間で圃場整備・栽培活動を並行して効率的に行うため、東部地域で実施した前プロジェクト(園芸研究開発・普及支援プロジェクト:HRDP)の拠点であったウエンカルセンターに供与した重機(掘削機)を借上げ、一部隣接する国立種苗センターの水田を含めた圃場約16ヘクタールの区画整理・造成、農道・堆肥舎、貯水槽から用水路の灌排水設備、更には隣接する市街地との間のフェンスの改修・設置、まで、専門家の指導の下に全ての工事を自前で行っています。
圃場間の移動を困難にしている不要なフェンスの撤去やグリーンハウスの移設、貯水槽や送水ポンプ・貯水槽・倉庫など既存施設の修復・修理は新規整備以上に労力を要し、謂わばゼロからではなくマイナスからのスタートの感がありますが、この5カ月間でバジョセンターの基本的な圃場整備はほぼ完了し、ミトゥンサブセンターでも堆肥舎が完成。今後更にハウスの移設・増設やパイプ灌水設備の改修・整備を進め、雨季の開ける秋からは更に栽培活動を拡大して行く予定です。
2016年6月末時点のBajoセンター圃場(来年には作物の緑が映えてくるはずです)
圃場整備に大活躍した掘削機
農道をまたぐ用水路へのヒューム管埋設
一部用水路は特注の半割ヒューム管を使用
移植したブドウと設置した用水路
漏水のため放置されていた貯水層の補修
貯水槽の揚水(水中)ポンプ設置
配管パイプのねじ切りも自分達で
堆肥舎設置工事(鉄筋は廃材を活用;ミトゥン)
完成後直ちにおが屑と鶏糞で堆肥を仕込み
既存ハウスの移設