2017年10月3日
雨期明けが近くなり早いところでは稲・メイズ(トウモロコシ)の収穫が始まっていますが、プロジェクトでは8月に対象5県で行った第2年度の農家への普及活動調整会議(Work Group Meeting)を踏まえて、各県より順次出始めた要望の内容確認・調整と候補農家の圃場確認に追われています。
WGMでは各県ごとの営農状況や自然環境等を考慮して対象果樹・想定農家戸数と選定条件などを協議・確認してはいるのですが、県農業普及所からは、各郡の普及員から挙げられた要望を十分精査せず、対象外の作物や標高などの条件に合わない農家、想定数を超える数の農家などが要望されています。
このため、対象果樹や選定条件の再確認、候補に挙げられた郡・村・農家の優先順位の確認など、各県担当カウンターパートを通じて何度もやり取りを重ねながら最終的な候補農家のリストを整理。そのうえで郡担当普及員・カウンターパート・JICA専門家が実際に農家を訪問し、標高や圃場の状況などを確認して想定される果樹と大凡の植栽可能本数を検討します。一般に果樹を含めて樹は粗放な管理でも育つものとの意識の強い農家は、急傾斜で灌木や岩の多い原野に近い圃場への植栽希望が多いのが悩ましいところですが、多少は譲歩しても条件を満たさないと思われる場合は対象農家から除外しています。
雨期の終盤は土砂崩れや陥没など道路状態が最も悪く、一部は車両が通れず徒歩での移動となります。山間部に点在する農家を一戸一戸訪問するのは時間と労力を要しますが、この確認作業を通じて農家にプロジェクトの真剣さを理解してもらい信頼を高めるとともに、カウンターパートや普及員に圃場確認のポイント(標高・方位・傾斜・植生・土壌・水源や家畜の有無だけでなく、作物の栽培状況から農家の意欲の程度を探る)を習得してもらう狙いもあります。特に、第1段階で候補農家を選定する普及員の認識が深まれば、将来的には、圃場確認を省略して圃場レイアウトに進めるようになることが期待されます。
この圃場作業を終えると、10月下旬には最終的に選定された農家を対象に第1回の啓発・基礎研修(東部で実施した類似プロジェクトの成果見学、普及する果樹の紹介と植穴準備実習など)を実施、11月には再度農家を訪問して植栽レイアウトを行い、12月にかけて農家に植穴の準備をしてもらったうえで、1月に植栽と樹体管理研修、直後に苗木を配布しての定植と普及活動が続きます。
中山間地に点在する農家を訪問
落石で塞がれた農道
時には落石を除けながら移動
車道から徒歩30分以内が農家の条件の一つ
メイズ畑、灌木や雑草の茂る原野など農家が植栽を希望する圃場は様々
家から遠く離れた水田の間の原野状態の急斜面(法面)は条件が悪すぎて除外
圃場を確認しつつ、営農状況などを聞き取り
県の支援で設置された電気柵だが周囲の除草が行われず機能していない
電気柵で囲われた植栽希望圃場に入り込んでいる鹿