2019年8月22日
プロジェクトが拠点を置くバジョ農業研究開発センターとミトゥン・サブセンターでは、プロジェクトの開始以来、圃場や関連施設の整備を進め、多様な園芸作物品種を導入し、その栽培技術の開発に取り組んできました。3年半にわたる地道な努力の結果、圃場機能は格段に強化され、カウンターパートの能力、意欲も確実に向上してきました。普及関連の活動も成果が現れつつあり、5年の事業期間が終盤に差し掛かる中、プロジェクトは実りの季節を迎えようとしています。
そんなプロジェクトの発展を象徴するかのように、6月から8月にかけ、両センターの試験圃場では様々な園芸作物が次々と実り収穫されています。試験栽培の目的は実を収穫して食することではなく、導入しようとする作物がブータンの人たちの味覚に合うか、ブータンの気候に合うかを確認し、普及用の種子を生産することです。この季節の野菜ではナス、オクラ、キュウリ、トマト、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、トウガラシ、トウモロコシ、マメ類などなど。栽培管理の一環として間引かれた野菜たちは、センターの職員で分配したり、無人販売所に並んだりと、無駄なく有効に消費されます。
一年サイクルで栽培が繰り返される野菜とは異なり、結実までに長期を要する果樹では、収穫可能な作物はまだまだ限られていますが、ブドウやドラゴンフルーツ、キゥイなどは、植栽後わずか数年にもかかわらず、早くもたわわに果実を実らせています。ブドウやドラゴンフルーツは、地域での栽培実績がほとんどない果物なので、出来の良いものは王室に献上されるほど珍重されています。
私たち日本人スタッフがその光景を目にすることは叶いませんが、あと数年もすれば、大切に植え育ててきたナシ、カキ、モモ、アプリコット、ビワ、アボカド、柑橘なども、後を追うように次々と立派な実を付けてくれることでしょう。そしてやがては、プロジェクト発の園芸作物が活動地域に根付き広がっていくことを確信しています。その肥やしとなれることを誇りに、残された活動期間を全力で駆け抜けたいと思います。
ナスは試験圃場で育つ夏野菜の代表格
生育の旺盛なオクラは多収穫が期待できます
スイートコーンの甘さには作業員もびっくり
車の荷台に積みきれないほどのスイカ
品種登録に向けたカボチャの収穫調査
赤唐辛子はブータンの食卓の必需品です
収穫しているのは日本でもお馴染みの巨峰
キゥイも少しずつ大きくなってきました
ドラゴンフルーツは王室にも献上されます
赤く色づいてきたマンゴー