2022年8月31日
プロジェクトの1年目は、「詳細計画策定フェーズ」として、各種調査を実施することになっています。2022年4月から6月にかけて、まずはベースライン調査と指導員訓練(ToT)実施の現状および課題に関する調査を実施しました。
質の高い職業訓練を提供するためには、訓練の計画、実施、モニタリング・評価、改善のPDCAをきちんと回すことが重要です。本プロジェクトでは、国立職業訓練機構(INPP)が、職業訓練のPDCAサイクル(以下、訓練管理サイクル)を回せるようになること、また労働市場や産業界のニーズにマッチした訓練を自律的・持続的と提供できるようになること、を目指す成果の1つに掲げています。労働市場や産業界のニーズにマッチした訓練を自律的・持続的に提供するためには、指導員の能力強化、つまり指導員訓練をINPP自身で実施できるようになる必要もあります。
今回の調査では、上記訓練管理サイクルやToTがどの程度実践されているかについて調査を実施し、今後プロジェクトで必要な取り組みの整理を行いました。先行フェーズでプロジェクトが育成したCGFメンバー(Cycle de Gestion de la Formation:フランス語で「訓練管理サイクル」)を中心とした、INPPのリソースパーソンの協力も得ながら、本部職員や地方総局の職員へヒアリングを行いました。一般的な調査では、特に地方総局の職員に対しては質問票を送付して回答をもらうといった、遠隔での調査になりがちですが、今回はJCCのタイミングに合わせて実施し、対面で直接ヒアリングを行いました。その甲斐もあり、現状を詳細に把握することができました。
調査結果は8月にINPP関係者と共有されました。訓練管理サイクル、ToT共に、現状、ほとんど実施できていないという、かなり厳しい状態であることが明らかとなりましたが、今回の調査を通してINPP関係者たちが自分達のあるべき姿について色々と考えたことと思います。そして何よりも、INPP自身が変わっていかなければならない、ということを関係者全員で確認できたことが、今回の調査の最大の収穫と言えます。まずはこの現状をしっかりと受け止め、自律的・持続的に訓練管理サイクルやToTを実施できるようになるために必要な活動を検討し、プロジェクトとして支援していきます。
各種調査実施の様子1)
各種調査実施の様子2)