2022年9月30日
コンゴ民主共和国国立職業訓練機構能力プロジェクトフェーズ2では、国立職業訓練機構(仏:Institut National de Préparation Professionnelle 、«略称:INPP»)が自律的・持続的に、質の高い訓練を実施できることを目指しています。そのための取り組みの一つは、職業訓練機構における「指導員訓練」(仏:Formation des Formateurs、«略称:FdF»、英:Training of Trainers、«略称:ToT»)の能力強化です。そうした中、2022年9月5日から9月23日まで日本人職業訓練専門家による指導の下、「ToTの制度化」をテーマに職業訓練機構職員の能力強化ワークショップを実施しました。
こちらのワークショップでは、まずブレーンストーミング方式でToTの現状の問題分析を行いました。ワークショップ会場のホワイトボードで、参加者が課題と認識している事項を付せんに書き出し、右図のように縦軸をPDCAサイクルのステップ、横軸を訓練品質管理の「6M」(人:Man、訓練機材:Machines、訓練教材:Material、指導法:Method、評価:Measurement、管理:Management)を使ったマトリックス図に貼り付けてもらいました。
上記分析を得て、下記2点が明らかになりました。
1)ToTの運営が十分にPDCAサイクルに基づいていない
2)指導員の「キャリアパス」を構築する必要がある
尚、マトリックスの下部に貼り付けられた付せんが少なかったことから、職業訓練機構の関係者はToTにおいて評価(Check)及び改善(Action)の経験が不足していることが明らかになりました。また、「管理」に関係する付箋が非常に多いことからは、管理部門の作業が体系化されていないことが伺えます。
これらのポイントを踏まえ、1)については、ワークショップの残り期間でPDCAに基づいたToTの運営について提案・教授し、参加者の方々と共にToT運営のための執務要領(案)を作成しました。上記のとおり、PDCAサイクルに基づくToT運営にかかる経験がまだまだ不足しているため、今回作成した執務要領は、今後実施予定のToT試行を通じて経験を蓄積し、完成版へアップデートする予定です。
また、2)については、問題分析の結果、指導員としての採用からマスタートレーナー(指導員の指導員)までの育成過程が制度化されていないことが明らかになりました。そこで日本の職業訓練機関を例として、キャリアパス制度の構築を提案しました。
参加者からは、これまでINPPに存在しなかった、しかし絶対に必要な「指導員キャリアパス」の導入にまず取り組むべきという意見が多く出されました。INPPが自律的にToTを実施していくためにはこの「指導員キャリアパス」の導入・確率は必要不可欠であるとプロジェクトとしても考え、今後、プロジェクト活動の一つとしてそちらの制度構築を支援することになりました。
引き続きToTにおけるPDCAや指導員のキャリアパス構築等を通して職業訓練機構の能力強化を支援して参ります。その様子も定期的に本ウェブサイトにて掲載しますので、ぜひご覧ください!
ワークショップの様子