中部ジャワ州スマラン市及びソロ市でポシアンドゥと育児教室を視察しました

2019年7月19日

インドネシアにはポシアンドゥ(Posyandu)という地域保健活動があり、多くの小児保健に関するサービスもポシアンドゥを通じて提供されています。しかし、1歳以降まで継続して定期的にポシアンドゥを訪れてサービスを利用する人が少なく、また提供できるサービスも地域によっては限られます。
インドネシアは周辺国に比べて発育阻害(年齢に比較して低身長)の子どもの割合が高く、国を挙げて発育阻害対策に乗り出しています。発育阻害への介入は最初の1000日(妊娠期間と2歳まで)が最も重要と言われていますが、1歳以降にポシアンドゥを訪れて身長や体重を測りに来る子どもの割合が減少し、その予防や早期発見、早期介入が難しくなっている現状があります。また、子どもの健康や栄養についての母親の知識向上を目指し、各保健センターでは育児教室を実施していますが、こちらも参加者がなかなか集まらないなど課題があります。
プロジェクトではとくに最初の1000日の重要性を意識した子どもの健康状態のスクリーニングとして、月齢別の乳幼児の集団健診の導入に向けて活動しています。
今回は、州保健局および県保健局の意見を聴取するため、中部ジャワ州のスマラン市とスラカルタ市を訪問しました。中部ジャワ州は35の県と市で構成されており、州都スマランはインドネシア5大都市のひとつに数えられるほど人口の多い地域です。地方分権化のため、州の保健サービスは州保健局を中心に、県保健局との協同で提供されています。
中部ジャワ州衛生局母子保健及び栄養課長Dr. Retno Mratihataniは、2017年に母子手帳国際研修に参加し、YouTubeで母子保健の重要性を啓発する内容を発信するなど、精力的に活動しています。
今回訪問したスマラン市およびスラカルタ市で視察させていただいたポシアンドゥ、保健センター、育児教室、栄養センターは、それぞれがグッドプラクティスを実践するリーダー的な施設で、多職種が連携し利用者にとって魅力のあるサービスを提供していました。各市・県でグッドプラクティスと認められた活動は、州保健局が他の市・県にも紹介し、州全体の母子保健サービス向上を目指しています。
一方で、早期発見や早期介入の遅れ、医療保険導入にともなう地域保健と病院診療の連携の難しさなどの訴えもありました。
既存の小児保健サービスが複数ある地域の保健システムの中で、どのような乳幼児健診の形がフィットするのかを考えていきます。

【画像】

ポシアンドゥの受付をする母親とカルテを探すポシアンドゥカダー(ボランティア)

【画像】

ポシアンドゥで身長を計測中の乳児

【画像】

育児教室(保健センター栄養士の話)

【画像】中部ジャワ州保健局、スラカルタ市保健局およびスラカルタ市の専門職能集団の代表者との会合