事業対象地の紹介シリーズ:その2 シンドパルチョーク郡 チョータラ・サンガチョーク市

2020年11月27日

前回ご紹介したバルパック・スリコット村に続いて、プロジェクトの活動地域のひとつ、シンドパルチョーク郡チョータラ・サンガチョーク市(略称:チョータラ市)をご紹介します。

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シンドパルチョーク郡位置図。出展:JICA ODA見える化サイト(注1)

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チョータラ市位置図。出展:JICA「ネパール地震復旧・復興プロジェクト」ファイナル・レポート(成果1~3)(注2)

ネパール北東部、海抜約1600メートルに位置するチョータラ市は、シンドパルチョーク郡の郡都で、カトマンズから北東に車で約3時間という、本プロジェクトでは最もアクセスの良い事業地です。年間を通じて過ごしやすい気候で、ヒマラヤ山脈を眺めながらのピクニックやトレッキング、スンコシ川やボテコシ川でのラフティングといったアクティビティを楽しむことができ、カトマンズからの小旅行先としても人気の街です。

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チョータラの町並み ©Chautara-Sangachowk municipality

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高台からヒマラヤ山脈を臨むことができる。

農業の盛んな地域でもあり、野菜などのほかに最近ではお茶やコーヒーの生産なども行われています。2015年の震災では、この農業分野への被害も大きく、JICAでは震災後から同地域での農業支援なども行ってきました。
詳しくはこちらをご覧ください。

2015年の大地震では、4月25日にM7.8の本震がゴルカ郡で起きたのに続き、5月12日にM7.3の大きな余震がカトマンズから北東75キロを震源として起き、本震の被害にさらに追い討ちをかける形となりました。このため、特に2度目の震源近くのシンドパルチョーク郡は甚大な被害を受けました。チョータラ市の建造物の95%が壊滅的な被害を受けたという報告もあるほどで、チョータラの街の中心を走る道路は両脇の店舗などの建物が崩壊して長い間通行止めになりました。

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震災直後のチョータラ中心地。レンガ積み造りの多くの建物が全壊や半壊の被害を受けました。

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市庁舎の隣の広場は家を失った住民や緊急支援のためのテントで一杯になりました。

多くの住宅・学校なども被害を受けましたが、5年後の現在、住宅再建の必要があった14,580世帯のうち、既に9割が再建を完了しています。JICA支援による緊急住宅復興事業では、各地域の石大工対して耐震構造に関する研修を行うと同時に、コミュニティ内での助け合いの仕組みを強化することで住宅再建を支援してきました。とりわけ高齢者や女性が世帯主となる住宅の再建について、コミュニティ内での地域住民間での共助の仕組みを導入したことにより、耐震構造を取り入れた住宅再建が着実に進められるようになりました。

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JICAプロジェクトによる生計回復支援の研修を受けて自分達の育てた野菜を誇らしげに並べる受益者たち。

この住宅再建の事例があらわしているように、コミュニティの持つ共助のメカニズムを強化していくことは、「より良い復興」の実現や、将来起こりうる災害に対して地域で備える力を強化していくことにもつながります。本プロジェクトでも、この共助の力に注目し、住民参加型による復興の促進を目指しています。

引き続き、チョータラ市での活動の様子などもお伝えしていきますので、ぜひご覧ください。