2023年5月16日
本プロジェクトでは2015年に発生したネパール地震を受け、参加型による「より良い復興(Build Back Better/BBB)」のための能力強化に取り組んでいます。被災コミュニティの社会・経済的復興と次の災害に向けての備えを促進することを目指すコミュニティ・レジリエンス・プロジェクト(Community Resilience Project:CRP)の活動例について、今回は、ゴルカ郡バルパック・スリコット村の観光事業を紹介します。
2015年のネパール大地震の震源地であったこの村は丘の上に位置し、登山やトレッキング客を対象とした観光業がこの地域の主な経済活動の一つでした。
震災後に複数の女性グループを統合して結成された女性組合(Barpak Women Multipurpose Cooperative:BWMC)を対象に、CRPプロジェクトを実施しています。BWMCは、観光客をターゲットとしたみやげ物としての毛織物や竹細工などの手工芸品づくりとその販売に取り組んでおり、メンバーの総数は約400人と、CRPの第1期(2021年12月~2022年7月)の対象グループの中では最も多くのメンバーで構成されています。
活動の一環として、専門家を講師に招いた手工芸品づくりの研修や、また、他の観光地を訪れるスタディツアーを実施しました。手工芸品として、竹細工の椅子や帽子、バッグ、写真立て、キーフォルダー、スマホケース、ペン立て、毛織物のセーター、マフラー、くつ下などを作っています。今後の活動では、伝統的な製法を生かした竹細工の土産物や、地元に多く飼育されている羊の毛を用いたウール製品等、バルパック特有のローカル色を打ち出した製品の製作とマーケティングに主眼をおいていきます。
また、BWMCの定例会議の場では生計活動について議論されるだけではなく、今後またいつ起こるか分からない自然災害の危険性やその対策について話合う機会も多くなりました。共に活動し、議論をする機会を通じて、民族・カーストの壁を越えてメンバー間での相互扶助の精神も強化され、平時における防災意識・能力の強化と、生計向上による経済的な備えとも併せて、次の災害に向けたレジリエンスを高める努力が続いています。
竹細工を作る女性たち
グループ活動で作られた作品
竹細工づくりの研修