セルビア共和国は1990年代の紛争や経済制裁によって大きな打撃を受け、ミロシェビッチ政権崩壊後の国際社会への復帰から10年以上を経た現在でも社会経済の再建の途上にある。同国政府は貧困削減文書(PRSP、2003年)に沿った開発を進めており、その中で重点開発分野の一つとして位置づけている保健医療分野においては、医療費のかかる治療よりもプライマリーヘルスケアの拡充と疾病予防を重視している。
医療費の削減は、セルビアにとって大きな課題となっている。人口動態を見ると、65歳以上の比率は毎年上がっており、2012年には14%を超え、高齢社会に突入している。セルビアの健康保険は国民皆保険加入であり…