【実施報告】中国地方の草の根の市民の力を国際協力へ:草の根技術協力実践事例共有会

2022年3月17日

横のつながりから活動にヒントを

JICAの事業は多くの関係者によって支えられています。このうち、草の根技術協力事業に参加して自分たちの強みを生かした活動をされている各団体の皆様が持つ知見や悩みを、同じ事業の枠組みで活動する団体同士で共有し、意見交換する実践事例共有会を、2022年2月25日(金)に行いました。JICA中国が所管する、活動国も活動分野も違う9団体にご参加頂きました。

私たち、こんな工夫をしています!

やすらぎ福祉会の平井さん

参加者の自己紹介後、まずはカンボジアで体育教育普及活動をされているNPO法人ハート・オブ・ゴールド(以下、「HoG」)と、ベトナムで高齢者介護予防に取り組む社会福祉法人やすらぎ福祉会の、2つの団体が事例発表を行いました。
HoG西山さんの事例発表後には、長期にわたり草の根技術協力事業の実施過程で、対象地域の拡大をどのようにしているのか、活動地での関係者のモチベーションのあげ方の工夫の質問などの質問が出ました。支援する側、される側と関係を固定化するのではなく、相手側の自立を促すべくモチベーションを持たせ、同じ体育教育普及活動をするチーム・仲間という目線を大切にしているという西山さんのご発表には、参加された皆さんもJICA中国の担当者もなるほど!と深く頷きました。
また、やすらぎ福祉会平井さんの事例発表後には、コロナ禍でオンラインに切り替わったことでの工夫や、介護という概念が浸透していない活動地での「介護予防」という意識の持たせ方、また、この支援を日本がすることの意義に関して質問が出ました。平井さんからは、対面での人間関係が出来ていたためオンラインでも自発的に情報共有・活動実施ができたこと、介護への意識が今は希薄でも必ず高齢化は来るので自身の両親が年老いた状況を現地の省庁の人に考えてもらうよう意識したこと、高齢者自身には日本のやり方を押しつけるのではなく彼ら自身の声を聴いて各々の目標設定をするところから始め、実際に健康状態が良くなったという成果・効果などからモチベーションが自然と上がっていったこと、をご紹介頂きました。このように各団体、対象者・対象国に合わせた工夫を凝らしていることが伺えました。

いつもは個別に抱えている現場の悩み、問題意識を共有

【画像】2団体からの事例共有の後は、参加者による意見交換です。日頃、分野や場所は違えど、コロナ禍の中で国際協力に取り組む皆さん、抱える悩みは重なるところがあります。
活動する国によっては、インフォーマルな飲み会でのコミュニケーションが信頼関係づくりに非常に重要となりなることも。とはいえ、飲み会ばかりではなく、先方の責任者が参加する公式な場で事業の成果を共有するよう気を付けているという団体もありました。また、活動対象国と日本間の行き来がある際にはお互いの自宅に招待し、普通の家庭がどのような環境で生活を送っているのかを、飾らずありのまま見せることで、互いの懐に入りこめるような関係ができたという団体もありました。
また、現地での活動参加に伴う日当など、現地の経費をどこまでどのように負担すべきかという点も議論になりました。事業の持続性と相手の自立を考えると、「払うのははじめの段階だけで途中からは払いませんよ、自分たちはいなくなりますよ、という事をしっかりと認識してもらっておく」ことや、「現地の人たち自身が、参加者から主催者になっていくことを意識して、自分たちで予算化していけるよう、財政当局等に伝えていくこと。効果が何なのかを明確に把握しておいて頂くことが大事」という意見が出るなど、予定の時間一杯まで、意見交換が続き、あっという間に終わりの時間となりました。

コロナ禍でJICAでも対面での研修実施が難しくなり、団体同士が顔を合わせる場がなくなった中で行った今回の企画、団体同士でお話し頂く会を実施することが出来ました。更に分野別・国別での意見交換がしたいといったお声も頂いており、今後も、情報交換が出来る機会を作りたいと考えています。ご参加頂いた団体の皆様、どうもありがとうございました。