コロナ禍でもスポーツと国際協力!読売巨人軍との共催により3年連続3回目の野球教室を開催

2022年1月26日

2022年1月12日、株式会社読売巨人軍と国際協力機構(JICA)は業務協力協定を締結し、「スポーツを通じた国際協力」活動の一環として、フィリピン・ミンダナオ島の子供たちを対象に、野球教室と栄養・食育啓発のオンラインイベントを開催しました。

コロナ感染予防対策のため、前回同様オンライン開催となったが、参加人数は前回より大幅に増加。
ミンダナオ島ダバオ市を中心に、バンサモロ地域も含めた子供たち、保護者、指導者らも合わせ、400人を超える大盛況イベントとなり、参加者の半数近くは女性という結果となりました。暫定自治政府が設立されたミンダナオ島において、宗教や民族を超えた参加者が同じイベントに参加する機会を通じ、相互理解の一助となることも期待されています。

また、昨年12月に開催された東京栄養サミットにおける「JICA栄養宣言」の趣旨も踏まえ、今回は、現地の食文化に合わせた栄養・食育のプログラムを実施しました。

在ダバオ領事館 三輪総領事明総領事から「オンラインでも、ジャイアンツによる野球指導はとても貴重な経験です。初回から続く防災、手洗い、そして今回の食育といった生活課題も学べる有益なイベントとなっています。未来のスター選手の皆さん、健康的な体はスポーツを楽しむ土台です。今日のイベントでたくさん学んでいってください。」というメッセージでイベントが始まりました。

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指導して下さった西田 樹コーチと平井 快青コーチ

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第1回イベントで配ったTシャツを着てくれた参加者

「自宅で自作で」できるトレーニングを紹介

ジャイアンツアカデミーの西田 樹、平井 快青コーチから、自宅でできる基礎体力づくり、そして自作の道具でできる実践練習メニューが指導されました。
家族が自宅から、友達と空き地で、教室から、学生寮から、オンラインだからこそ、それぞれの拠点から参加し、熱心な眼差しで講義に見入り、笑顔で楽しそうに実践する姿が見られました。

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ボールを空中に投げる間に拍手をする基礎運動の指導

後半は自作のボールとバットを使った攻守のコツをコーチが伝授しました。
親子で必死に練習する参加者に対して「すごいすごい!上手だ!」と声をかけます。単調になりがちなオンライン講座に動きを入れ、すぐに参加者と一体感を作り出すところは、さすがジャイアンツアカデミーのコーチです。

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守備練習で捕球時に膝を使う重要性を伝える様子

バッティング時のテイクバックを十分とる事でタイミングをとりやすくなり、飛距離も伸びます。とスイング原理を分かりやすく説明します。

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適切なバットの構え方でホームランを量産しましょう!と参加者の笑顔を誘うコメントも。

西田コーチ談:「日本みたいに野球がメインスポーツではない国への野球教室は初めて。最初は不安があったが、やっていくうちに動いてくれる人もどんどん増えてきた。文化の違いはあっても体を動かすことで楽しくスポーツができることをあらためて感じた。今後の活動につなげていきたい」

JICAが伝える開発課題の啓発トピック-一般人もアスリートも土台は食事から-

JICAが提供する啓発コーナー、初回イベントでは直前に起きたM6.6の地震から防災訓練を、2021年は感染予防の手洗い、と、取組みテーマを更新してきました。
長引くコロナ、外出制限、運動不足と、不健康になりがちな時は、まず食生活から改善!アスリートのベースも食事から!という事で、今年は栄養・食育をチョイス。フィリピン事務所のナショナルスタッフチーム(KessyとLala、Jenとその子供たち)が一般家庭で起こりうる栄養問題を分かりやすくまとめてくれました。

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ナショナルスタッフのJenさんと子供たちによるケーススタディ動画

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栄養学習を真剣に視聴する参加者

「野球が主役」のイベントですが、誰にとっても身近な課題で、参加者は興味津々に頷きながら講義に真剣に聞き入っています。

西田コーチからも「偏りなく何でも食べることが、病気にかかりにくい元気な体作りに繋がります」と、食事を通じた感染予防についてもアドバイスを頂きました。

終盤はヒートアップ!最後はリモートキャッチで盛り上がる

Q&Aコーナーでは、現地からたくさんの質問で白熱したコミュニケーションに。
コーチングスキルや、欧米人とアジア人のバッティングスキルの違いといった技術的な質問に、ジャイアンツコーチ陣も真剣な表情で回答されていました。
女性保護者からの質問もありました。
「スポーツをする子供の適切な食事の間隔と内容は?食事から運動までどのくらいあければいいの?」

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子供の食事について質問をくれた女性保護者

イベント最後は巨人軍から野球用具(ボール480球、帽子320個)の寄贈があり、最初の1球の受け渡しは、西田コーチから画面越しのトスアップで行われました。ボールを受け取ったミンダナオ国際大学のイネス学長は、「チームスポーツを通して友情・スポーツマンシップ・忍耐力を学ぶことが出来る。今日は素晴らしい機会だった。状況が良くなったら皆さんと直接お会いできる事を楽しみにしている」とコメントしました。

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日本から投げられたボールを現地でキャッチするミンダナオ国際大学イネス学長

巨人軍野球振興部の倉俣部長も、「止まない雨はありません。コロナが収束し、グラウンドで思い切り体を動かせる日が来たら、また現地に伺い、皆さんと直接交流を図りたいと思います」と挨拶し、再会を約束しました。

読売巨人軍との業務協力協定の展開

今回のイベントでは皆様のスピーチ、参加者からのチャットから「現地開催」を希望する声がたくさん届きました。
巨人軍からの協力も含め、JICAによる全世界へ向けたスポーツを通じた国際協力は続きます。

コロナが収束した暁にはこれまで溜まったエネルギーを爆発させるくらいの現地でのイベントが開催できる事を皆さん心から願っています。
フィリピンにゆかりのある平井コーチも「私もフィリピンの血が入っている。現地の方と一緒に楽しい時間を過ごせたので、今後もこのような機会があれば、現地に行って一緒に交流してみたい」と語ってくださいました。

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