2021年12月7日(火)・8日(水)に、日本政府主催により、東京栄養サミットが開催されました。
サミットでは、各国政府や国際機関、企業や市民団体など様々な関係者が、栄養不良に苦しむ人々を一人でも減らすための取り組みを「コミットメント」として発表しました。
JICAは、サミットの成功と国際的な目標の達成に向けて、関係者と連携しながら、途上国政府のマルチセクトラルなアプローチによる栄養不良対策の能力強化を通じて、栄養改善に向けた協力を行っていきます。
また、人間の安全保障に向けたこれら栄養改善の取り組みを進めるために、2021年12月7日の東京栄養サミット公式ハイレベルサイドイベントにおいて、JICAは10箇条の栄養宣言を発表しました。
東京栄養サミット2021とは?
概要
東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ、栄養不良の解決に向けた国際的取組を推進するため、東京栄養サミット2021が開催されました。
2021年は、2020年12月にカナダ政府とバングラデシュ政府が開催したローンチイベントを皮切りに、年間を通じて栄養改善に関するさまざまなイベントが開かれた「成長のための栄養:行動の年(Nutrition for Growth Year of Action)」です。
その最高潮ともいえる東京栄養サミット2021では、各国政府、国際機関、企業、市民団体などのリーダーが、食・健康・繁栄をテーマに世界の人々の栄養改善について幅広く議論し、今後の行動の方向性について共通認識を深めました。
また、世界の栄養改善に向けて実効性のある目標を設定するため、多様な関係者が、自らが実践する内容をコミットメントとしてまとめ、発表しました。発表されたコミットメントの達成度合いを世界全体で確認し合う体制を作り、世界の栄養課題の解決を目指します。
東京栄養サミット2021における5つのテーマ
東京栄養サミット2021の主要議題として、以下の5つが取り上げられました。
【重点分野】
- 1.Health:栄養サービスのユニバーサル・ヘルス・カバレッジへの統合
- 2.Food:健康的で持続可能なフード・システムの構築
- 3.Resilience:脆弱な状況下における栄養不良対策
【分野横断的なテーマ】
- 4.Data:データに基づく説明責任
- 5.Financing:栄養改善のための資金確保
背景・目的
第1回目の栄養サミットは、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックの機会に、当時のキャメロン英首相のイニシアチブによって2013年に英国ロンドンで開催されました。英首相、ブラジル大統領、アイルランド首相(EU議長国)、マラウイ大統領などが出席し、成果文書として「Global Nutrition for Growth Compact」(注1)が採択されました。
第2回目は、2016年のリオオリンピック・パラリンピックの機会にブラジルのリオデジャネイロで開催され、ブラジル保健大臣、DFID栄養特別大使、WHO事務局長、FAO事務局長などが出席しました。成果文書として「Joint Communique of the governments of Brazil, Japan and United Kingdom」(注2)が作成され、ブラジル、英国、日本政府による2020年に向けたイニシアチブが記載されました。
JICAの取り組み
JICAは、IFNA(食と栄養のアフリカ・イニシアチブ)のアプローチ(注3・注5)に基づく食料・農業分野の取り組みやユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注4)達成に向けた保健分野の取り組み、また日本の開発経験やJICAの強みを生かしたマルチセクター/マルチステークホルダーの多様な取り組み(注5)により、途上国の栄養改善に向け、栄養サミットにおける日本のコミットメント形成に貢献しています。
- (注3)IFNA(食と栄養のアフリカ・イニシアブ)
- (注4)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
- (注5)栄養改善に向けたJICAのアプローチ
イベント・セミナー情報
開催済み
- JICA四国展示「東京栄養サミット2021展-四国から世界の栄養を考える-」を開催(2021年12月1日~2022年3月15日)
- JICA沖縄企画展「世界の食と栄養展」を開催(2021年11月22日)
- JICA中部なごや地球ひろば 展示連動イベント「栄養って大切!」を開催しました。(2021年12月7・8日)
- 東京栄養サミット2021公式ハイレベルサイドイベント「人間の安全保障と栄養-栄養の二重負荷の解決のための連携を通じたコレクティブインパクトの発現に向けて-」を開催(2021年12月7日)
- 東京栄養サミット2021公式サイドイベント「子どもたちに健やかな未来を-給食と栄養教育の可能性-」を開催(2021年12月2日)
- 東京栄養サミット2021公式サイドイベント“Advancing Multi-Sectoral Approach for Nutrition-Experiences of IFNA and its Future-”(2021年12月1日)
- HuffPostライブ配信イベント「世界の栄養問題が深刻化!?-日本が取り組むマルチセクトラルアプローチとは-(2021年11月16日)(外部サイト:YouTube)
- グローバルフェスタJAPAN2021「『みんなの栄養』を覗いてみよう!-世界の学校給食から見える未来-」(2021年10月9日、10日)(外部サイト:YouTube)
- オンラインセミナー【持続可能で健康的な食事を目指して-東京栄養サミットに向けた民間企業の取り組み-】(2021年6月29日)(PDF/183KB)
関連ニュース&最新情報
JICA-Netマルチメディア教材「子どもの栄養改善にむけて-東京栄養サミットサイドイベントで活用-
栄養サミット時・以降で議論される方向性、日本の経験をストーリー仕立てで教材化し、今後のJICAの母子栄養協力の方向性をわかりやすく国内外に示すため、JICA-Netマルチメディア教材「日本の母子栄養・食育の取組み-子どもたちの健やかないのちと学びのために-」を作成。
JICAトピックス記事「食べることは健康に生きること-人々の命を守る「栄養」を考える:東京栄養サミット2021開催」
東京栄養サミットを終え、JICAホームページ内のトピックスにて記事を掲載
栄養サミットでも放映、「マレーシアでの食育活動」広報動画
JICAマレーシア事務所が「マレーシアでの食育活動」の広報動画を作成。東京栄養サミット公式サイドイベント「マレーシアでの食育活動」でも放映
栄養サミットに向けたJICA広報動画「世界のみんなのごはん」
東京栄養サミット開催に向け、世界各国の食材・料理を紹介する動画を作成。JICA海外協力隊 経験者や草の根技術協力事業の関係者にも協力いただき、アフリカ・中南米・大洋州の食事を「おべんとうばこのうた」に合わせて楽しく紹介
日本経済新聞電子版掲載広告企画 座談会「世界の栄養課題-今こそ求められる日本企業の英知-」
東京栄養サミット開催を前に、関係者で座談会「世界の栄養課題-今こそ求められる日本企業の英知-」を実施。持続的ソーシャルビジネス創出に向けた取り組みの状況について、意見交換
「世界の栄養課題-今こそ求められる日本企業の英知-」日経電子版掲載広告企画(日本経済新聞社)
JFNラジオ番組「OH! HAPPY STYLE」世界の栄養改善、食育の取り組み
世界の栄養課題、JICAの栄養改善の取り組み、栄養サミットの概要を紹介
JICA Magazine2021年12月号 特集 食・農業「食べること つくること 生きること」発行
JICAの栄養改善の取り組みや栄養サミットについて紹介
Building Momentum for the Nutrition for Growth Year of Action(roundtable 3)
2021年4月8日、世界栄養報告(GNR: Global Nutrition Report)および 栄養改善拡充イニシアチブ(SUN:Scaling Up Nutrition)が、「成長のための栄養:行動の年(Nutrition for Growth Year of Action)」に向けた第3回円卓会議を開催
Eastern and Southern Africa Roundtable:Building Momentum for the Nutrition for Growth Year of Action
2021年2月25日、GNRとSUNが、東京栄養サミットに向けて東部・南部アフリカ地域を対象に円卓会議を開催
Asia-Pacific Roundtable:Building Momentum for the Nutrition for Growth Year of Action
2021年2月17日、GNRとSUNが、東京栄養サミットに向けてアジア太平洋地域を対象に円卓会議を開催
Nutrition for Growth Year of Action Launch Event
2020年12月14日、カナダ政府、バングラデシュ政府、日本政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、東京栄養サミットに向けたローンチイベントを開催
栄養サミット公式サイトへの掲載
東京栄養サミット2021公式サイトにて、味の素ファンデーションによる「ガーナ栄養改善プロジェクト」が掲載(英文)
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