東京栄養サミット2021公式ハイレベルサイドイベント「人間の安全保障と栄養-栄養の二重負荷の解決のための連携を通じたコレクティブインパクトの発現に向けて-」を開催

2021年12月7日

12月7日、東京栄養サミット公式サイドイベントとしてJICA主催のハイレベルイベントをオンラインで開催しました。本イベントでは、北岡伸一JICA理事長の基調講演に続き、イブラヒム・アッサン・マヤキAUDA-NEPAD長官、チュー・ドンユィ(屈冬玉)FAO事務局長、ヘンリエッタ・フォアUNICEF事務局長、マムタ・ムルティ世界銀行副総裁が登壇し、各機関の栄養改善に係るビジョンを共有しました。パネルディスカッションでは、コレクティブインパクトの実現に向けて、各国政府と開発パートナーの連携を通じて途上国での栄養改善のためにさらなる取組推進の可能性について意見交換をしました。
北岡理事長は、人間の安全保障に向けた栄養改善の取組を進めるために、10箇条からなる「JICA栄養宣言」を発表しました。

JICA YouTubeチャンネルにサイドイベントでの北岡理事長基調講演のダイジェスト版動画(英語)を公開しました。

基調講演

JICA 北岡理事長

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北岡理事長

JICAは「人間の安全保障」への貢献を重視。その基本にあるのは、すべての人々が「恐怖」と「欠乏」から自由になり、尊厳をもって生きる権利があるといること、そして各国政府や国際社会はそれを支援する義務を負うという概念である。栄養は、人間の生命・健康の基礎であり、「人間の安全保障」の最も重要な根幹を成すもの。JICAの栄養改善のアプローチの最大の特徴は、日本の経験に立脚した国際栄養協力の展開にある。例えば、母子手帳の活用や学校給食による食育など。JICAは、栄養サミットを契機として、ここに人間の安全保障のための10箇条の約束「JICA栄養宣言」を発表し、すべての人々の栄養改善の実現に向けて、パートナーとの連携を通じて更なる取組を進めていく。

AUDA-NEPAD マヤキ長官

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マヤキ長官

アフリカのAU加盟国において、様々なパートナーと栄養改善の強化に尽力し食料安全保障をアフリカで実行していることを誇りに思う。IFNA(Initiative for Food and Nutrition Security in Africa)もすでに10カ国で取組が進められており、REC(注1)とのパートナーシップにより、アフリカ全土に活動範囲を拡大している。東京栄養サミットに合わせて発表したIFNAコミットメント(IFNA’s Commitments for the Tokyo Nutrition for Growth Summit, 2021)でも触れたが、マルチセクターなアプローチにて、需要と供給のギャップを埋めることが重要である。

(注1)REC:Regional Economic Communities

FAO チュー事務局長

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チュー事務局長

農業・食料システムは雇用、生活、地球へのインパクトの観点から世界で最も大きい経済システムであり、効率的、包括的、強靭で持続的なシステムへの変革は、貧困削減において主要な役割を果たす。アフリカ、またアフリカを超えた地域での重点的、スケールアップしたアクションに向け、能力向上を継続的に支援することが必要である。FAOとしても市民社会や民間セクターを含むすべてのパートナーと連携し、飢餓のない世界の実現に向け、調和のとれた取り組みを協力して進めていく。

UNICEF フォア事務局長

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フォア事務局長

UNICEFは、全ての子ども、青少年、女性が栄養摂取の権利を実現する世界を目指しており、SDGsの栄養ターゲット達成に向けた進捗を加速させるため、新しい10か年栄養戦略を策定した。あらゆる形態、状況における栄養不良の予防、治療に力を入れ、各国政府、パートナーと引き続き連携することで子どもたちの食物や食生活、食環境の質の向上を目指していく。

世界銀行 マムタ副総裁

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マムタ副総裁

栄養は、人的資本(Human Capital)、各国の経済のけん引、民間セクターの生産性、そして人間の安全保障達成にとって重要。低栄養、過栄養両者ともに大きな健康、経済的影響がある。またCOVID-19のパンデミックにより子どもの発育阻害、消耗症が増えることが予想されているが、これは対処できる危機でもある。政府のリーダーシップや適切な支援のためのパートナーシップがあれば目に見える迅速な変化を起こすことができる。この危機の根本から対処するには、多くの質の高いファイナンスおよび全員参加のパートナーシップが必要であり、世界銀行グループも自身の役割を果たしていく。

パネルディスカッション

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ゲルダ事務局長

ゲルダSUN(Scaling Up Nutrition)事務局長による進行でパネルディスカッションを行い、栄養改善において最大限の効果を達成するためのパートナー間における効果的な連携について意見交換を行いました。

北岡理事長は、「栄養改善という課題に対して各関係者が同じ行動を行うのではなく、各々が得意な活動を行う事が重要であり、お互いの強みを十分理解した上で相互連携を通じることで最大のインパクトを生むことができる。その際に重要なのは情報や知見の共有であり、それは連携と信頼関係の基盤となる」と述べました。

マヤキ長官は、高いレベルでコミットメントを得るためには、政治的に良い環境があること、マルチセクトラルなアプローチを実行できること、そしてパートナーとの補完性の3つポイントが重要であることを強調しました。

FAOチュー事務局長は、具体的なインパクトをもたらすためには、地域や国レベルにおけるFAOのハンド・イン・ハンドイニシアティブ(注2)や政府、民間セクター、NGO、学界、国際機関による具体的な取り組みとともに、特定の課題や地域に重点を置いた政策が必要であることを述べ、これに関連する優良事例として学校給食プロジェクトに言及しました。そして開発途上国、特に脆弱な国を支援するためにはドナーによる援助増額が重要であることを強調しました。

最後にゲルダ事務局長より、ディスカッションの総括として、今後どのように各関係者が連携・補完しながらこのモメンタムを継続していくのかが重要であり、そのための政治的意思やパートナーシップの必要性について述べられた。そしてこのモメンタムをどのように加速させ、どうやって測定していくのかも大切であること、そのためには国内リソースの活用、各国のオーナーシップ、財政や能力強化も必要であり、これらを通じて社会と人、コミュニティが前に進めることを強調しました。

主な参加者

登壇者

JICA理事長 北岡伸一
Dr. Ibrahim Assane Mayaki, Chief Executive Officer, African Union Development Agency-New Partnership for Africa’s Development (AUDA-NEPAD)
Dr. Qu Dongyu, Director-General, Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)
Ms. Henrietta H Fore, Executive Director, United Nations Children's Fund (UNICEF) Video Message
Dr. Mamta Murthi, Vice President for Human Development, World Bank Group Video Message

モデレーター

Ms. Gerda Verburg, UN SUN Movement Coordinator

総合司会

JICA経済開発部長 佐野景子

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