コスタリカでコミュニティ防災推進を担う人材育成を目的とした防災短期集中研修を実施しました。

2017年7月11日

2017年5月8日から12日までの5日間、防災人材育成の取組みの一環として防災短期集中研修が実施しました。自助・共助、実践的な活動などを特徴とする日本型の地域防災の取組みをコスタリカに応用するプロジェクト活動の1つと位置付けられます。
コスタリカのカウンターパート側の持つ課題の一つは、政策や計画は策定されているが、それらを現場で実践して実現していく手法が少ない、というものでした。この課題への解決策の1つとして、日本人専門家チームとプロジェクトマネージャにより今回の研修が企画され準備段階を経て実施となりました。2016年11月より計画の策定を始めて、2016年12月と2017年3月にはコミュニティ向けの研修を実施して段階的に準備を着々と進めてきました。また、今回の研修では対象を「コミュニティ防災を市役所や関係省庁の立場から進めていく関係者」と設定し、また内容は「より実践的なものとする」事などいかに地域防災を進めていく仕組みを作っていくかに焦点をあてたものとなりました。
同時に、2020年までの人材育成と研修実施能力強化を見据え、コスタリカ側の関係者に講師として参加いただき、日本人専門家による講義と組み合わせて実施することなど、プロジェクトの目標達成にいかに効果的に近づけるかを考えた仕組み作りから取組みました。
実施会場は、大きな課題でした。これまでは、カウンターパート側がドナーとともに実施する研修は、費用負担の大きなホテルの会場などが主でしたが、プロジェクト目標である「持続可能な体制」を作り上げるために、研修に係るコスト削減をはかるべく、公共施設や防災関係組織の施設を低額または無料で活用する方針を取り入れました。これは、一回の研修で研修費用が高額になる事で、研修開催が不定期であり、より多くの人に研修が継続して提供できない、という課題を意識したものです。
2016年12月から実施しているコミュニティ向けの研修でも、公民館や公共施設を活用するなど持続可能性を見据えた研修実施のコスト削減を実現しています。
研修は防災機関のみならず保健省、警察、市役所、市役所能力強化庁、観光庁、NGOなどから約50名が参加し地震・津波、火山、洪水、地滑り・土石流、気候変動などのメカニズムに加えて、それらへの対策と個人レベルでの対応行動、地形図判読訓練、仙台防災枠組2015-2030の内容とプロジェクトによる貢献、などが講義されました。
研修の最後には、グループワークで作成した防災の課題と提案、1時間の筆記試験が実施され参加者は熱心に課題に取り組みました。グループワークでは、「全国的な防災への意識啓発と意識向上」、「市が防災を優先事項としていない。そのため予算が十分でない。」、「コミュニティにおいては防災を進めるリーダ育成が重要」であるなどの課題が洗い出され、参加者と共有されました。繰り返し言及される課題ですが継続して取り組んでいく必要性が強調されました。BOSAIプロジェクトフェーズ2では、これらの課題解決に向けた取り組みが多く計画されており、今回の研修も知識と技術もさることながら、重要な課題を参加者がグループワークを通じて明確にし、参加者間で共有できた事も重要な能力強化と課題解決の1つとして考えています。
筆記試験は、参加者の98%以上が70点を取得するという高い理解度を示し、またそのうち6名は満点を獲得するなど研修の効果もしっかりとはかることができ、参加者には修了証が授与されました。。今後は、今回の研修の参加者との連携を継続しつつ、関係機関の連携強化を図り、市役所の防災への取組みを支援する体制をさらに整えていく取組みを進める予定です。

以上

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筆記試験の様子。参加者98%以上が70点以上を獲得した。

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グループワークの様子。地域レベルの防災の課題と解決案をプロブレムツリーの手法で議論する。

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日本人専門家による講義。

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コスタリカ支所長から修了証が授与された。

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コスタリカカウンターパート機関の長官による挨拶。研修会場の壁には、日本で使用されている様々なハザードマップが張り出さるなど会場作りの工夫もされた。

【画像】研修参加者、カウンターパート、日本人専門家チームの集合写真。