ラ・セイバ(La Ceiba)市にて避難所体験訓練と洪水避難訓練を開催しました

2019年3月16日

2019年3月12日~16日の間、ラ・セイバ(La Ceiba)市にて避難所体験訓練と洪水避難訓練を開催しました。5日間に及ぶ訓練にはホンジュラス国緊急事態対策常設委員会(COPECO)の職員45名が参加し、避難訓練には地元住民176名が参加しました。

初日は、首都テグシガルパから車で6時間の位置にあるラ・セイバ市のCOPECO地域事務所に到着すると、早速支援物資の供給が始まりました。普段は災害対応で被災者対応を行うCOPECO職員も、今回は被災者として避難所生活を模擬体験しました。この体験を通して被災者の境遇や心情を理解し、実際の避難所運営に活かすことが本訓練の目的です。参加者は夜は簡易ベッドの上で眠り、日中は4人から5人のグループに分けられ、“家族”として支援物資で炊き出しを行いました。ガスコンロはどのように組み立てるのか、5日分の水・食料をどのように分配するのか、慣れない作業のため様々な問題に直面しますが、家族としてこれらの問題に対処しつつ初日の活動が終了しました。

2日目午前の訓練は、ラ・セイバ市防災委員会(CODEM)代表と日本人専門家の2名を講師とした座学を中心に行われました。ラ・セイバ市からは、市の災害状況やこれまでの防災の取り組みについて紹介が行われました。同市はカリブ海に面しており、そこを流れる河川の河口及び下流域が度々洪水災害に見舞われています。1998年のハリケーン・ミッチ発生時には河川の堤防が決壊し、大きな被害を出したことから、防災の普及啓発の取り組みを実施しているとのことです。一方、日本人専門家からは、土のう作りといったコミュニティレベルで実施可能な洪水軽減対策や、日本の防災経験が伝えられました。特に、防災は自助・共助・公助の観点で住民と行政が協力していくこと、自然の中で社会生活を営んでいることを忘れずに自然との共生・リスクとの共生を学んでいくこという本プロジェクトのコンセプトに、参加者から多くの共感が寄せられました。

2日目午後と3日目は、避難訓練の対象コミュニティを回り、電柱等にペンキで避難ルートを表示するとともに、一軒一軒住宅を訪問し、住民に避難訓練への参加呼びかけを行いました。

4日目の洪水避難訓練では、地元住民と共にメガフォン等で避難の呼びかけを行い、平日にもかかわらず176名もの住民が避難しました。また、けが人に扮した住民の搬送や避難者名簿の作成も行い、参加者全員にとって学びの多い避難訓練となりました。訓練終了後の反省会では、「一部地域で避難勧告の伝達に時間がかかった」「どの情報で避難するのか明確にした方がいい」等の課題が浮き彫りになりましたが、こうした点を踏まえて、継続的な訓練実施体制ができることが望まれます。

今回の約1週間に亘る活動のうち、初めての経験となる避難所体験は、快適とは言い難いというのがCOPECO職員の率直な感覚であったと思われます。また洪水避難訓練も、想定外のことへの対応を迫られるなど、気の抜けない時間が長く続き、流石に終盤には疲労の色を隠せない職員も見受けられました。しかし、参加した職員其々から「避難所運営で何に着目しなければならないか理解した」「避難訓練は初めての体験。是非、首都でも実施したい。」等のコメントがあり、一連の活動が充実したものであったことがわかります。プロジェクトチームは引き続き、今回の参加者に対するフォローを行いコミュニティ防災の強化を目指します。

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「けが人」を簡易担架(毛布)で運ぶCOPECO職員(避難訓練)

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災害オペレーション本部で状況分析するCOPECO及び市職員(避難訓練)

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避難所体験訓練では簡易ベットや支援物資で5日間を過ごした