ナガロテ地震5周年メモリアルイベントに協賛しました

2019年4月10日

2014年に発生したナガロテ(Nagarote)地震の記憶を後世に伝えるため、2019年4月10日に5周年メモリアルイベントがニカラグア自治大学(UNAN)で開催され、BOSAIフェーズIIも協賛しました。
同イベントには省庁・各国大使館・ドナー・学生など合わせて300人以上の参加がありました。

ニカラグアの地震と言えば、死者1万人以上と言われている1972年のマナグア(Managua)地震や、津波による被害を出した1992年のニカラグア地震(死者約170人)が有名ですが、近年は火山性の群発地震も含めて、多くの地震が国内で発生しています。
なかでも近年のニカラグア社会に大きなインパクトを与えたのが2014年4月10日に発生したナガロテ(Nagarote)地震です。同地震では幸いにも人的被害(死者)こそ出なかったものの、建物の損壊等で多くの負傷者が出るとともに、地震の脅威を改めて知る機会になりました。

本イベントでは、UNAN・ニカラグア国土調査院(INETER)・国家住宅都市開発庁(INVUR)・ニカラグア工科大学(UNI)・ニカラグア国家災害管理・防災システム局(CD-SINAPRED)からの発表があり、ナガロテ地震がどのような地震であり、住宅等にどのような被害があったのか、または同地震を受けて、どのような対応・復旧・復興が行われてきたのかについて発表がなされました。
発表のなかで、この地震がニカラグアの国家としての災害管理・防災体制を整備する機会になるとともに、そこに多くのドナーの支援があったことへの感謝の言葉がありました。
特に日本の支援については、地域レベルの防災能力強化を目指すBOSAIフェーズIIの他に、津波・地震観測体制強化や学術振興(修士等の学位取得)など多岐に渡る協力について感謝の辞が述べられました。

過去の記憶や教訓を風化させない取り組みは大変重要で、BOSAIフェーズIIとしても常々カウンターパートに訴えてきたところですが、それが少しずつニカラグア全体に浸透してきていることを実感するイベントとなりました。

このようにニカラグアにおける公的機関の地震への備え、そして過去の教訓を生かす取り組みは大きな進展を見せています。しかし地震災害において最も大事なのは、各個人・家庭での備えになります。
1995年の阪神淡路大震災では、亡くなった方の90%以上が発生からすぐに死亡しており、死因は主に圧死であることが明らかになっています。今回の発表の中にもありましたが、「地震ではなく、建物が人に被害を与える」のです。つまり各個人が耐震補強を行い、家具の固定を行うことで、自分と大切な家族の命を守ることができるのです。
そして公的機関はその推進をサポートすることが役割となることから、BOSAIフェーズIIでは、耐震補強と家具の固定という「地震から生き残るための防災対策」を奨励し、地震防災教材として取りまとめを行っています。

ニカラグアの災害を風化させない取り組みと連携して、BOSAIフェーズIIでは引き続き地域の備えと命を守る防災活動を支援していきます。

作成:川東 英治(長期専門家)

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ナガロテ地震5周年メモリアルイベント会場

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防災協力への感謝状が、ニカラグア政府からJICAに贈られました

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各機関の発表の様子