テグシガルパ市のコミュニティで第2回土砂災害防災研修が開催されました

2019年7月6日

2019年7月6日に、テグシガルパ(Tegucigalpa)市の4つのコミュニティを対象にした第2回土砂災害防災研修が開催され、ホンジュラス緊急事態対策常設委員会(COPECO)、テグシガルパ市役所、地域住民を合わせた48名が参加し、避難基準・避難ルートの検討と避難計画の作成が行われました。

まずは日本人専門家より、避難の基礎知識として「事前避難」と「緊急避難」という2つの避難対応の違いについて説明されました。通常は災害が起こる前の事前避難が推奨されますが、土砂災害は事態が急変した中で起こることも多く、切迫した状況下で避難(緊急避難)をしなければならないこともあります。そのため、本研修では通常の避難ルートと合わせて、避難所まで行くことができない場合でも命を守るために比較的安全な場所が地域のどこにあるかを確認しました。

次に、地域の避難基準について検討しました。土砂災害は局地的に発生することも多いため、国や自治体が発する災害・避難情報だけを頼りにすることはできず、コミュニティ内の異変に地域住民が気付いて避難をする体制作りも重要になってきます。そこで、行政機関の情報、地域にある土砂災害観測体制、予兆現象など住民が確認可能な現象等、避難のきっかけとなる情報に関して議論を行いました。
特に、前回の研修で作成した土砂災害マップには多くの住民の経験が取りまとめられており、こうした情報を避難に活用できる事を確認しました。更に「大雨時の地鳴り・地下水の流れる音」「家のドアの変形や地割れ」等、日本人専門家から避難に活用できる現象に関し説明がなされ、こうした予兆現象を全ての住民に広めていくことを確認しました。

また、簡易雨量観測の推奨も行われました。多くの地滑りは雨に関係するため、どのくらいの雨が地域に降ったかを知ることが重要ですが、雨量観測は寸胴の容器があれば誰でも観測ができます。特に今回の対象コミュニティでは、長雨による地滑りが発生する地域であることから、大きなペットボトルの上部を切り取った大容量の雨量計を使うことも検討されました。

第2回の研修も盛況のうちに終了しました。第3回の研修ではこれまでの議論を取りまとめて、コミュニティの避難計画を作成するとともに避難訓練の準備を進めていく予定です。

作成:川東 英治(長期専門家)、杉本 要(長期専門家)(文責)

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住民の経験をとりまとめ、土砂災害マップを作成する作業

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災害発生メカニズム「事前避難」と「緊急避難」に関する説明に聞き入る参加者

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今回の研修では避難基準に関して議論が深められた