コミュニティ防災ファシリテーター研修が開催され、コミュニティでの防災活動を開始しました

2020年2月14日

2020年2月11日から14日にかけて、チリキ県ティエラスアルタス市のボルカンにて、コミュニティ防災ファシリテーター研修が開催されました。研修には、パナマ国家市民保護システム(SINAPROC)の本部、地方事務所、市役所の防災担当、コミュニティメンバー、民間企業等から選抜された27名が参加しました。

今回の研修の目的は、災害のリスクにある全国のコミュニティにて、自主防災組織を形成するためのファシリテーターを育成することにあり、2日間の講習と、2日間のOJT(On the Job Training)としてのフィールドワーク演習で構成されています。また、計4日間の研修に加えて、各自の管轄エリアで2日間のコミュニティ防災活動の実施が宿題として課され、実施後はレポートを提出することになっています。
この研修には本プロジェクトで作成されたコミュニティ防災ファシリテーター研修用教材とマニュアルが使用され、これらの教材を基に研修員はファシリテーターとして、今後自身の管轄エリアにて自主防災組織形成のための活動を続けていきます。

研修の始めの2日間の講習で、研修員はコミュニティに対し、災害時には救助等外部の助けを待つのではなく、自助・共助で被害を少なくできるよう働きかけていくことの重要性を学びました。パナマにおけるこれまでのコミュニティに対する支援は、発災後の救助活動と、住民一人ひとりに対する啓発活動が中心でしたが、この講習により、コミュニティが防災委員会を持ち、組織的に防災・減災活動を行っていくことのメリットが理解されました。

研修の後半の2日間は、ティエラスアルタス市の土砂災害のリスクにさらされている3つのコミュニティに足を運び、講習で学んだことを基に、コミュニティ住民に自主防災組織の設立の必要性を説明するためのミーティングを実施するというOJTを行いました。3つのどのコミュニティメンバーからも、是非自主防災組織を形成していきたいとの意欲的な意見が話されましたが、既存のコミュニティ組織の有無により、ミーティングの参加者の人数には一人から約30人と大きなバラツキがあり、パナマでのコミュニティ防災活動実施上の課題が改めて示される形となりました。これらの3つのコミュニティに対しては、引き続き、管轄エリアの研修員を中心に、SINAPROCと市・コレヒミエント(行政区)がコミュニティでの自主防災組織の形成と、防災活動の実施を粘り強く支援していくことになっています。

4日間の研修の後、研修員は自身の管轄エリアにて自主防災組織形成のための活動を開始しました。現在20のコミュニティで活動が行われており、無事に必要な活動を修了した研修員はファシリテーターとして正式に認定されます。
このファシリテーター研修は今後、SINAPROC本部にて定期的に実施されていく予定となっており、全国に10カ所あるSINAPROCの地方事務所に毎年各2名のファシリテーターを育成することが目標となっています。この目標は、SINAPROCのコミュニティ防災普及計画でも、ファシリテーターの育成計画として定められており、プロジェクト終了後もコミュニティ防災展開のための道筋となっていく予定です。

プロジェクトでは、研修員がコミュニティ防災ファシリテーターとして認定・登録され、コミュニティ防災活動を継続できるようフォローアップを行い、普及のための活動をサポートしていきます。

作成:竹林 あゆ美(長期専門家)、佐々木 新(コンサルタント)、黒木 正恵(コンサルタント)

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ファシリテーター研修の様子

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コミュニティ防災の必要性について語る研修員

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研修員とコミュニティとの集合写真