第1回Joint Coordination Committee(JCC:合同調整委員会)会議の開催(キリバス)

2016年7月27日

フィジー共和国・生活習慣病対策プロジェクト(2015年5月-2020年5月)に続き、キリバス共和国においても2016年6月20日に「生活習慣病対策プロジェクト(2016年6月-2019年6月)」が開始されました。2016年7月27日には、事業の開始にあたり第1回JCC会議を開催しました。JCCとは、先方政府機関やJICA在外事務所の長などで構成されるプロジェクトにおける最上位の意思決定機関であり、JCC会議はプロジェクトに関わる主要関係者が一同に集い、プロジェクトに関わる事項を協議・決定する重要な機会です。

今回の会議では、現地の状況や実情に合わせて、プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM:プロジェクトの計画・実施・評価を行う際の基本となるデザイン)の変更が提案され、協議の結果、変更が正式に認められました。

キリバスでは近年、感染症疾患から生活習慣病(NCD)への疾病構造の転換が急速に進み、2015年にはNCDの四大疾患(心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍)が死因の69%を占め、少なくとも成人(25-64歳)の72.7%がNCDの有病者を含む高リスク群です。早期死亡のみならず、生産性の低下や保健財政の圧迫をもたらす経済成長の脅威であり、国家開発計画(2016-2019)の中でも、現状に則した効果的なNCD対策の推進は国家の喫緊の課題として認識されています。

本事業では、3カ年の保健戦略計画(2016-2019)に沿って、保健医療サービス省がNCD対策を着実に推し進めていくため、特に住民による保健サービスへのアクセス向上を目指して、コミュニティへの巡回活動を通じた効果的かつ効率的な健診や啓発活動を行うために必要な実施体制の強化と保健人材の育成を支援します。対象地域は、人口の約半分(5.6万人)が住む南タラワです。その中で、初年度は1つのパイロットサイトに絞って活動を行い、3年目までに対象地域全土に広げていく計画です。

コミュニティという”現場”から離れたオフィスで、NCD対策のための基礎的なサービスをあまねく住民に行き届かせるための計画策定は簡単なことではありません。現場で本当に求められているものは何か、関係部局が連携を図りながら、過去の教訓や経験を整理し、計画、実行、評価、そして更なる改善を続けていくための能力(キャパシティ)強化や体制作りも支援していくことになります。

JCC会議の席で、議長を務めたキリバス保健医療サービス省の次官からは、本事業を含めて、リーダーシップ・オーナーシップを持って国家のNCD対策の推進に取り組んでいきたいと力強い宣言があり、出席した関係者は一様に、これから3年間の取り組みへの期待を新たに、士気を高めました。本事業の活動を通じて、その主体性が末端の医療従事者まで広く醸成されることも期待されます。

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JCC会議の議長を務める保健医療サービス省次官。保健医療サービス省が主体的に事業を進めていく姿勢の重要性を示す。

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JCC会議の出席者による集合写真