「生活習慣病予防のための保健指導と行動変容」の研修開催(フィジー&キリバス)

2018年1月31日

2018年1月23日~26日、首都スバ市内のフィジー看護協会ホールにて、中部地区の看護師や栄養士26名を対象に「生活習慣病予防のための保健指導と行動変容」に関する能力強化研修を開催しました。同様の課題に取り組むキリバス保健医療サービス省から4名のカウンターパートが視察を兼ねて研修に参加し、両国での課題や取り組みについても活発な意見交換が行われました。

本事業のカウンターパート機関であるフィジー保健医療サービス省のウェルネスセンターのセンター長、兼国家生活習慣病対策アドバイザー(National Non-communicable Disease Advisor)のイシメリ・ツカナ医師の基調講演「生活習慣病予防と行動変容」から研修は始まりました。生活習慣病予防の推進に向けて、疾病対策志向から患者(人)中心の保健サービスの転換、一人一人の”変わる動機”を引き出すような行動変容に資するサービスの拡充に向けた期待が述べられました。

研修は全4日間をかけて行われ、保健指導に必要となる専門知識(生活習慣病、栄養、運動等)の他、カウンセリング技術としての動機づけ面接(Motivational Interviewing)の基本知識とスピリット(精神)、個別やグループでの保健指導の計画や実践方法などが主な内容です。保健医療サービス省とJICA専門家だけでなく、フィジー国立大学、カウンセリング専門機関であるローカルNGO・Empower Pacificの関係者にも講師、オブザーバーとして参加と協力をいただきました。

4日目の最終日には、専門家等の指導のもと、スバ市近郊の保健施設で実際の患者に対し、個別・グループでの保健指導に研修参加者達が挑戦。「今までの患者への接し方が、カウンセリングではなく、いかに一方的な情報提供・助言になっていたかに気がついた。」「語られないことの中に、患者の”変わる動機”があるかもしれないと思えるようになり、今まで以上に話を聴く姿勢が持てた。」「こちらの姿勢が変わるだけで、患者から得られる情報が増え、よりニーズに応じた保健指導が可能になると自信になった。」などの声が参加者から多く聞かれました。

保健指導の技術や自信は一回の研修で養えるものではなく、職場に戻り継続してブラッシュアップしていくことが期待されます。日常的な業務を通じて今後も保健指導の質の向上を図るためのツールとして、セルフアセスメントシート(患者の反応と自身のパフォーマンス)を研修で紹介しました。同シートは、日本での優良事例を参考に作成し、本事業で実施する<職場における肥満対策パイロット事業(2017年9月から約3ヶ月間)>の中で試験的に導入し、改良されてきました。今後も、研修効果や定着についてモニタリングを続け、研修の企画内容の改良や支援体制の整備につなげていく所存です。

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個別の保健指導のロールプレイを披露する参加者達

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保健教育や保健指導に関するこれまでの取り組みや課題について発表するキリバス保健省関係者

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グループの保健指導のロールプレイに取り組む参加者達