算数教育セミナーを開催しました

2019年10月23日

10月23日、ダッカの初等大衆教育省(MOPME)の初等教育局(DPE)多目的ホールにて、DPE主催による小学校算数教育に関するセミナーが開催されました。DPE局長を議長とし、MOPME次官を主賓とする70名程度の政府初等教育関係者が会場に集まりました。

セミナーでは、本案件の算数教育専門家である広島大学の馬場教授と埼玉大学の二宮教授により、小学校算数教育に関するカリキュラムの世界的潮流やデータに基づいた教育政策実施の重要性について基調講演が行われました。馬場教授は「A Way forward in 21st century Bangladesh」をテーマに、デジタルバングラデシュ政策に掲げられている「21世紀のグローバリゼーションの世界で競争するために必要な能力を構築する」ためには、カリキュラムに高次の認知スキルだけでなく社会的スキルを含める必要があるということを指摘しました。その後、JICAが2002年から実施している初等理数科教育への技術協力について紹介し、今後の提言として、研究に基づいたカリキュラム開発を行う研究所の設置、国および地方や学校レベルでのデータ(例えば全国学力調査NSA)に基づいた政策の実施、データ分析専門家の育成と知見の蓄積の重要性を強調しました。

二宮教授は「How can we assess students' achievement」をテーマに、アセスメントの方法とその留意点について、具体的な事例を交えながら参加者にわかりやすく発表しました。その後、日本の「全国学力・学習状況調査」や「埼玉県学力・学習状況調査」というようなアセスメントの具体的事例を紹介し、最後に、テストの点数だけではなく平均と分布、妥当性と信頼性について考慮する必要があることをまとめとして強調しました。それぞれの発表者が具体的な事例を用いて参加者に問いかけながら発表が行われたため、参加者は世界の潮流と照らし合わせながら学力調査などデータに基づいた政策実施の重要性を認識している様子が伺えました。

最後に、MOPME次官より、第二次初等教育開発計画(PEDP2)以来、初等教育のさまざまな面で技術的なサポートを提供しているJICAに対する感謝の意と、算数の教育と学習に関する国際的な潮流とバングラデシュの課題、また課題への対応について発表を行った馬場教授、二宮教授への心からの感謝の意が表明された。このセミナーで高まった「データ分析に基づいた政策の実施」の機運が、実現へとつながっていくように、政府への働きかけを引き続き行っていきます。

文責:副総括 服部 浩昌

【画像】セミナー後に記念撮影 中央:次官、左隣:馬場教授、右端:二宮教授

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「A Way forward in 21st century Bangladesh」をテーマに発表する馬場教授

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「How can we assess students' achievement」をテーマに発表する二宮教授