プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ガスネットワークシステムデジタル化及びガスセクター運営効率向上プロジェクト
(英)The Project for Gas Network System Digitalization and Improvement of Operational Efficiency in Gas Sector in Bangladesh

対象国名

バングラデシュ

署名日(実施合意)

2019年10月21日

プロジェクトサイト

バングラデシュ国全土

協力期間

2020年2月2日から2022年12月22日

相手国機関名

(和)
実施機関
・電カエネルギー鉱物資源省エネルギー鉱物資源局(EMRD)
・ペトロバングラ
ガス輸送会社
・Gas Transmission Company Limited(GTCL)
ガス配給会社
・Titas Gas Transmission and Distribution Company Limited(TGTDCL)
・Bakhrabad Gas Distribution Company Limited(BGDCL)
・Karnaphuli Gas Distribution Company Limited (KGDCL)
・Jalalabad Gas Transmission and Distribution System Limited(JGTDSL)
・Pashchimanchal Gas Company Limited(PGCL)
・Sundaban Gas Company Limited(SGCL)
LNG関連運営機関
・Rupantarita Prakritik Gas Company Limited(RPGCL)

(英)
Implementing Agency:
-Energy and Mineral Resources Division(EMRD)Ministry of Power, Energy and Mineral Resources MoPEMR)
-Bangladesh Oil Gas & Mineral Corporation(Petrobangla)
-Bangladesh Energy Regulatory Commission(BERC)
-Gas Transmission Company Limited(GTCL)
-Titas Gas Transmission and Distribution Company Limited(TGTDCL)
-Bakhrabad Gas Distribution Company Limited(BGDCL)
-Karnaphuli Gas Distribution Company Limited(KGDCL)
-Jalalabad Gas Transmission and Distribution System Limited(JGTDSL)
-Pashchimanchal Gas Company Limited(PGCL)
-Sundaban Gas Company Limited(SGCL)
-Rupantarita Prakritik Gas Company Limited(RPGCL)

背景

バングラデシュは、一次エネルギー源の過半を国産天然ガスに依存している一方で、国産天然ガスの生産量は2017年を境にピークアウトし、今後は減少するとみられている。2016年に改訂されたエネルギー・電力マスタープラン(PSMP2016)によると2014年から41年までのガス需要は平均3.3%で増加すると見通されており、バングラデシュ政府は新規ガス田の開発を目指している。しかしながら、生産に結び付くと期待されている海洋ガス田開発は、まだ探査の状況で、現在の需要を考慮すると、既存ガス田の可採年数は10年程度とみられている。この状況を補うため、液化天然ガス(LNG)の輸入が2018年より開始され、今後も液化天然ガス(LNG)輸入量が大幅に増加する計画となっている。結果として、2041年のガス供給の約70%はLNGに依存するとみられている。
係る状況の中、LNGが導入されることに伴う国内ガス供給方法は、需要変動に拘わらず一定量を供給する方式から需要に応じ供給量を調整出来る方式に変更されることから、供給量・熱量調整を含め高度なプロセス制御システムが必要となる。また、既存ガスインフラの多くは老朽化し、ガス漏れが頻発していることに加え、インフラ管理に必要なプロセスフロー図やルート図などの基本的な資産台帳の更新が不十分である。結果として、ガス需要に対する適切な供給や、ガス漏れなどに対する迅速な対応ができず、高価なLNGが導入された際の安定・効率的な供給に支障をきたすことが懸念される。
上記課題を克服する対策として、JICAでは、2018年に「ネットワークインフラ・ガスインフラの電子化に係る情報収集・確認調査」を実施し、かかる分野の課題を特定した。特にガス関連設備(ガス田、LNG輸入受入設備、パイプライン、コンプレッサー等)と電力設備(電源、送電線、変電所等)のネットワークインフラ資産をシステム化し統合的に管理・運営することが極めて重要であることが提言された。同調査の結果を踏まえ、バングラデシュ政府は、ガス及び電力の両ネットワークインフラ資産を統合したシステムの構築、係るシステムを適切に維持管理・運営するための人材育成、組織体制、共通標準設計、法制度等の構築を目的とする技術協力プロジェクト「ガス・電力ソフトインフラ構築技術協力プロジェクト」を要請した。その後、2019年6月~7月にかけて詳細計画策定調査が実施され、プロジェクトの大枠が2019年7月16日に合意された。なお、プロジェクト内容はデジタル化を行いつつも、これを基盤として、各種技術支援を一体的に行いガスセクターの運営効率向上を目指すことから、プロジェクト名を「ガスネットワークシステムデジタル化及びガスセクター運営効率向上プロジェクト」に変更することで合意し、2019年10月21日付で政府間技術協力プロジェクト合意文書(Record of Discussion, R/D)が署名された。

プロジェクト概念図

目標

上位目標

経済発展に効果的な、信頼性のある効率的なガス・電力供給が実現される。

プロジェクト目標

ガス発電所や大口需要家を含むガスネットワークシステムがデジタル化され、ガス供給事業の計画・運営が効率化されるとともに、システムの信頼性および安全性が強化される。

成果

成果1:ガス輸送ネットワークのデジタル化並びに優先地域におけるガス配送・システムのデジタル化
成果2:ガスネットワークの計画・運営の組織能力強化
成果3:ガスインフラの設計基準・仕様の統一
成果4:ガス供給プロセス安全管理手法の導入
成果5:LNGターミナルオペレーター或いはLNG供給者による既設パイプライン使用に係る法令的枠組の策定と、LNG購入契約やFSRU或いはターミナルオペレーターとのサービス契約に係る指針策定
成果6:ガスネットワークデータベースシステム運営機関の枠組み提言

活動

成果1に対する活動

1-1.ガスフロー図、模式図の更新
1-2.管路とバルブステーションのリストの更新
1-3.ガス輸送設備のモデリングとデジタル化
1-4.ガス配送設備優先地域のモデリングとデジタル化
1-5.データベースシステム操作の訓練用教材作成とOJTの実施
1-6.データベースシステム運用のための発電所に関する各種データ(主要ガス発電所の形式、容量、運用計画等データベースシステム運用に必要なガス消費量データ)の更新及びデジタル化

成果2に対する活動

以下にかかる運営、計画の訓練教材の作成と訓練実施
2-1.ガス供給モニタリングとプロセス制御(DCS)の基本と監視システム(SCADA)の計画及び設計
2-2.ガス(輸送及び配送)フローシミュレーション
2-3.既存設備更新・改善と将来のパイプラインインフラ計画
2-4.ガス供給事業の運営効率改善方策の提案

成果3に対する活動

3-1.既存の設計基準、材料仕様、標準施工図面の見直し
3-2.新規事業の為の標準設計と材料仕様のガイドライン作成
3-3.材料特定コード・手順の作成

成果4に対する活動

4-1.労働衛生マネジメントシステム(OSHAS)18001に基づくLNGターミナルとガス輸送配送設備の訓練プログラム、マニュアル作成、演習
4-2.既存安全規則の検証及び更新と正式承認への提案

成果5に対する活動

5-1.LNG供給事業一般及びLNGターミナル運営或いは供給事業に関する法的枠組み及び責任機関の体制検討
5-2.複数の事業者に依るパイプライン使用に関し、容量権利(Capacity Right:LNGオペレータ、LNG供給者に配分するガス輸送容量)と品質補償(QualityCompensation:ガス品質の差異を平準化するための価格補償)制度の枠組みの提案
5-3.LNG契約管理に関する能力向上プログラム(LNG購入契約、FSRUを含む設備サービス契約)

成果6に対する活動

6-1.最適なデータベースシステム運営組織の調査と分析
6-2.適切なデータベースシステム運営組織枠組みの提言

投入

日本側投入

短期専門家12名

総括/ガス供給改善計画 1、副総括/GIS・データベース(ガス、電力) 1、ガス輸送・配送 1、GIS・データベース(地形) 1、デジタル化システム(プログラム) 1、デジタル化システム(モデリング) 1、デジタル化システム(トレーニング1)/キャパシティアセスメント 1、SCADA 1、ガス導管解析/ガス管材料・設計 1、LNGターミナル運営/安全管理訓練 1、運営組織体制/法令・契約 1、GIS・データベース(環境)/デジタル化システム(トレーニング2) 1

研修員受入

ガス事業プロセスの安全管理、LNG受入基地安全管理等に係る本邦研修の実施(2回)

デジタル活動に用いる調達機材

ネットワークインフラ管理ソフト、ガスフローシミュレーターソフト、導管探査機、他関連機材

その他の活動経費

必要に応じてプロジェクト活動に係る現地経費

相手国側投入

プロジェクトダイレクター(EMRD)
プロジェクトマネージャー(ペトロバングラ)
各ガス事業者から1~3名のエンジニア
施設・機材:プロジェクト実施に必要な事務所及び施設の提供

【画像】