プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)統合エネルギー・電力マスタープラン策定プロジェクト
(英)The Integrated Energy and Power Master Plan Project

対象国名

バングラデシュ人民共和国(バングラデシュ)

署名日(実施合意)

2021年3月14日

プロジェクトサイト

バングラデシュ国全土

協力期間

2021年6月22日から2024年1月31日

相手国機関名

(和)電力エネルギー鉱物資源省
(英)MoPEMR(Ministry of Power, Energy and Mineral Resources)

背景

バングラデシュ人民共和国(以下、「バングラデシュ」という)では、堅調な経済成長に伴って一次エネルギー需要が2007年から2017年の10年で約1.5倍増加(IEA 2017)しており、今後も増加が見込まれる中、エネルギー供給構造の転換点を迎えている。一次エネルギー源の約6割を依存していた国産天然ガスの生産量が減少する中、2018年には液化天然ガス(LNG)の輸入が開始され、今後もLNG輸入量が大幅に増加する計画となっている。
これまでバングラデシュ政府は、電力システムマスタープラン(Revisiting PSMP2016)、省エネマスタープラン(EECMP2016)、及びガスセクターマスタープラン(GSMP2017)といった、エネルギーサブセクター毎の長期計画を策定してきた。しかしながら、電力システムマスタープラン策定時から、需要想定の変化や低・脱炭素に向けた世界的な気運の高まりなど、現状に即したエネルギー計画の見直しが必要になっている。
上記課題を克服するため、バングラデシュは、上述のエネルギーサブセクター毎に策定されている長期計画を見直し、取りまとめた国全体としての統合的なエネルギー開発方針を策定し、低・脱炭素社会実現に向けてより具体的かつ実効性のある対応策の強化・実施が求められる局面にある。係る中、「環境(Environment)」への適合を中心にしつつ、「エネルギー安全保障(Energy Security)」の確保及び「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、加えて「安全性(Safety)」の確保という「3E+S」を追求した、中長期的な低・脱炭素エネルギー政策の必要性から、統合エネルギー・電力マスタープラン策定の支援を行う。

プロジェクト概念図

目標

上位目標

エネルギーの安定供給及び経済合理性の確保を前提とした低・脱炭素エネルギー需給システムが構築される。

プロジェクト目標

バングラデシュの持続可能な開発の達成のために必要となる、低・脱炭素エネルギー需給システム構築の実現を見据えた統合エネルギー・電力マスタープランが策定される。

成果

1.バングラデシュの持続可能な開発の達成のために必要となる、低・脱炭素エネルギー需給システム構築の実現を見据えた統合エネルギー・電力マスタープランが策定される。
2.MRV(Measurement, Reporting and Verification:測定、報告、検証)によって収集された情報を基に政策策定、計画、実施、モニタリングを行うための基礎となるエネルギーデータ管理体制が強化される。

活動

1.国家計画及びエネルギーセクターの現況レビュー

・国家計画及び各セクターの既存MPのレビュー
・気候変動対策、及び環境問題に係る政策、計画のレビュー(NDC)

2.エネルギーデータ管理体制整備

・エネルギーデータ管理の現状確認、課題の把握
・最新データ(一次エネルギーの供給側、需要側)の収集・分析
・エネルギーデータ管理体制の強化のための提案(体制構築等)
・GHGインベントリ報告書作成の支援、提案
・NDC更新に向けた提案

3.一次エネルギー供給・最終消費のバランス分析

・第8次五か年計画、Revisiting PSMP2016、EECMP2016、GSMP2017、その他関連政策/計画の分析、経済開発見込みの分析
・2050年を目標年次としたエネルギー需要予測、供給計画の策定
・エネルギー効率化計画の策定(産業・民生・商業・運輸分野)
・長期エネルギー収支のシナリオ分析(目標2030年、2041年、2050年)
・上記の財務的コストと便益の計算・分析、及び国家財政への影響評価
・エネルギー需給システム構築のために必要となるインフラ開発、及び制度構築に係る短期/中期のコスト・便益の計算・分析

4.電力システム計画の策定

・Revisiting PSMP2016、EECMP2016のレビュー
・電力システム設備のO&M政策分析
・電源開発計画の策定、送電開発計画の策定、及び関連課題の分析
・燃料価格の上昇による経済インパクトの分析と対策の検討

5.LNG輸入に係る法的枠組み検討

・バングラデシュにおける現行法令、規則の分析と課題の特定
・ガス事業の法令、規則の草案策定に向けたアクションプラン提案

6.環境社会配慮

・戦略的環境アセスメント(SEA)の考え方に基づいた環境社会影響も含めた代替案の比較検討

投入

日本側投入

短期専門家35名

業務主任者/エネルギー政策、副業務主任者/経済・財務分析、低・脱炭素政策、エネルギー経済分析、エネルギー需給最適化分析1、エネルギー需給最適化分析2、一次エネルギー分析(再エネ)、一次エネルギー分析(石油)1、一次エネルギー分析(石油)2、一次エネルギー分析(ガス)、一次エネルギー分析(石炭)1、一次エネルギー分析(石炭)2、エネルギーデータ管理(消費量調査)、エネルギーデータ管理(キャパビル)、需給分析(電力・ガス)1、需給分析(電力・ガス)2、電源開発計画、発電設備・調整力、電源開発計画(アンモニア)、再生可能エネルギー導入計画(政策、非電力)、再生可能エネルギー導入計画(電力)、系統計画(計画・設備)、系統計画(解析)、系統運用・制度、系統運用・研修・系統運用能力強化、配電設備計画1(配電計画)、配電設備計画2(配電運用)、電力取引、タリフ分析、LNG事業の法整備支援1、需要側管理、低炭素政策・技術(運輸・交通)、低炭素政策・技術(産業)、低炭素政策・技術(民生)、環境社会配慮1、環境社会配慮2

研修員受入

長期エネルギー計画策定に係る本邦研修の実施(1回)
エネルギー統計作成に係る本邦研修の実施(1回)

長期エネルギー計画策定に用いる調達機材

回帰分析ソフト

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.委員会、及びTWGの設置
3.プロジェクト事務所
4.カウンターパート職員の人件費・経費