2019年2月28日
冬の寒さがひと段落し、植物の活動が活発になり始める2月から3月にかけては、バジョ農業研究開発センターとミトゥン・サブセンターのスタッフも、各種の圃場作業で大忙しとなります。
野菜栽培では、種子採取を待つ冬野菜の管理作業に加え、夏野菜の栽培に向けた準備が始まります。2月の中旬には、プロジェクトが普及に力を入れているスイカ、カボチャ、ズッキーニをビニールハウス内のポットに播種しました。順調に苗が育てば、3月中旬には路地に移植するとともに、一部は普及用として地域の農家へ配布する予定です。その他にも、ナスやトマト等夏野菜の播種も行われ、苗づくりが始動しています。
果樹栽培では、2月上旬から3月上旬の間に、接木や剪定を集中的に行います。樹木の生長が低調となるこの時期に作業することで、果樹へのダメージを最小限に抑えることができるからです。バジョ・センターの苗畑では、まだ接木されていない果樹の幼苗(台木)が数千本育てられています。それらのうち、接木に供し得る太さまで成長したナシやカキ等を対象に、母樹から採取されて、冷蔵庫で保管されていた穂木を接いでいきました。これらの苗木は、来年以降の普及材料として、苗畑で大切に育てられることになります。
忙しいのはバジョ・センター、ミトゥン・サブセンターでの圃場作業だけではありません。カウンターパートはこの時期、自身が担当する地域の農村を駆け回り、果樹普及農家への苗木配達、育苗農家への接木支援、在来果樹への高接ぎ作業等、普及に関わる重要な仕事を数多くこなさなければなりません。在来果樹への高接ぎは、希望農家を対象とする取り組みで、いわば接木の出張サービスです。プロジェクトが実施している系統的な普及プログラムとは一線を画す活動ですが、地域における果樹生産振興の基盤づくりに繋がることを期待して、一軒一軒の農家に足を運び、一本一本の果樹に接木して回るという地道な努力を続けています。この活動も、必要とされる支援を必要とする人の下へ確実に届けるという意味では、プロジェクトが提唱する「アウトリーチプログラム」の一環と位置付けることができるでしょう。また、この接木の出張サービスは、カウンターパートが学んだ技術を活かす貴重な実践の機会にもなっているのです。