高原野菜栽培研修(第7回農業普及員園芸技術研修)の実施

2019年7月18日

プロジェクトでは、バジョ農業研究開発センター(以下バジョ・センター)の研究員や活動地域の農家に加え、両者をつなぐ存在として各郡に配置されている農業普及員の能力向上にも取り組んでいます。去る6月には、高原野菜栽培をテーマに、第7回目となる郡農業普及員園芸技術研修を実施しました。

ヒマラヤ山脈の南麓に位置し、山と谷に囲まれたブータンは、夏でも冷涼な高地が多いため、夏季に冬野菜を育てる高原野菜生産による収益が期待できます。そこで、プロジェクトの活動対象5県のうちプナカ県、ワンディ県、ガサ県から標高の高い郡をそれぞれ二か所選び、各郡を巡回しながら高原野菜栽培の研修を実施しました。
各地での研修には、普及員だけではなく、それぞれ20~30人の地域農家が参加しました。午前は座学で野菜栽培の講義、午後は農家圃場を借りての播種実習、最後に実践用の冬野菜種子配布というのが研修の基本パッケージです。朝の座学では、普段馴染みのないプロジェクターを使っての講義が新鮮なのか、食い入るように講師の話に耳を傾け、次から次へと質問を飛ばす普及員や農家の姿がたいへん印象的でした。圃場での実習では、講師の指示に従いながら播種床造成、種蒔き、ビニールカバー設置等一連の作業に汗を流しました。研修の終わりに配られた種子はブロッコリ、キャベツ、ニンジン、ダイコン、ホウレンソウ等の冬野菜です。学んだ知識と技術を思い出しながら、自身の畑で栽培に取り組んでくれることを期待しています。

この高原野菜栽培研修は、昨年も同時期に実施したのですが、そのときは対象郡の農業普及員をバジョ・センターに集めるという通常の研修方式でした。今回は研修の企画段階で、研修をより効果的、実践的なものに改善するには、生産現場まで出かけていき、普及員だけではなく農家も直接巻き込むことが重要との意見がブータン側スタッフから出され、その線に沿って実施されたという経緯があります。そういった流れを踏まえ、日本人専門家がイニシアチブを取ることは控え、なるべくオブザーバー的立場に徹するよう努めました。その結果、立案から準備、実行に至るまで、全てカウンターパート主導の下実施することができました。また、合計6回の研修を重ねる中で、まだまだ向上の余地はありますが、講師を務める研究員自身の理解が促進されるという相乗効果も見えました。プロジェクトが終盤を迎える中、カウンターパートが主役を張り、日本人専門家がバックアップサポートの役割を務めるという一つの形を実現できた6月の巡回研修でした。

【画像】

研修の対象となるのは標高2000~2500mの山村です

【画像】

野菜担当カウンターパートによる栽培技術の講義

【画像】

研修で紹介する野菜をよく知らない農家に写真を見せるカウンターパート

【画像】

研修講師の説明を熱心に聞く参加農家

【画像】

播種床作りを指導するカウンターパート

【画像】

散水方法を指導するカウンターパート

【画像】

育苗用のミニ温室作りを指導するカウンターパート

【画像】

研修の終わりに野菜種子を参加農家に配布しました