第5期果樹普及農家育成プログラム始まる

2020年11月18日

プロジェクトが提唱する園芸技術普及プログラムに基づく、第5期目となる果樹普及農家育成研修の前半を11月1週目から2週目にかけて実施しました。本プログラムは、中西部5県から選抜された農家を対象に果樹栽培技術の基礎など様々な実践的技術の移転と知識の共有を促すものです。

ブータンにおけるCOVID-19の感染者数は低い数字を維持しているものの、感染リスクに配慮して参加人数を通常の半分とし、すべてのセッションを屋外で実施しました。第1週はバジョの農業研究開発センターにおいて、ワンデュポダン県、プナカ県、ガサ県を対象に、第2週はミトゥンの農業研究開発サブセンターでチラン県とダガナ県を対象に開催し、各県農業局長の推薦を受けた地域の総勢37名の農家が参加しました。

今回トレーニングを実施した技術的内容は次の5つがメインとなりました。
1.園芸栽培技術の基礎(圃場排水、かん水、施肥、植え付け間隔、圃場肥沃度診断)
2.総合病虫害防除技術(各種資材の利用技術、物理的虫害防除技術、生物的病虫害防除技術)
3.有機栽培用資材の作成(くん炭、発酵有機肥料)
4.コンポストと育苗用培養土の作成
5.果樹栽培技術の基礎(台木育成,結実管理)

参加希望者のみで実施するはずだった小規模農家のための農産加工実習も、すべての農家が参加して実施し、それぞれの農家にあるものだけで加工や常温長期保存を可能にする瓶詰め製品の熱殺菌といった基本的なことが自分でできることを理解する良い機会となりました。真冬の1月から2月にかけて、接木、剪定や誘引といった果樹ならではの技術についての追加セッションを予定しており、これら合計2回(あわせて4日間)の研修を終えると、第5期の果樹農家育成研修は終了となります。

こういった技術普及トレーニングは、今後カウンタ-パートが講師を務めて継続していってもらうことで成果があらわれてくるものです。昨年度からはできる限り、最初は通訳を務めてもらい、事前研修も実施して能力向上を図ってきたところですが、今回
は7割程度講師を務めることができました。

参加農家の半分は、以前のプロジェクト研修参加者のうち実際に果樹栽培をやっている農家をメインに選抜してもらったことから、多くの質問もでて、セッションに意欲的に参加している様子が伺えました。

プロジェクトも残り半年余りとなり、現在普及教材の一つとして映像教材を開発しています。今回の研修の様子をビデオ撮影し、プロジェクト終了後に活用してもらうために編纂をしていく予定です。

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研修参加者集合写真(バジョセンター)

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研修参加者集合写真(ミトゥンサブセンター)

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プロジェクト制作のビデオ教材を視聴する農家

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プロジェクトが開発した野菜栽培技術リーフレットを農家へ配布

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果樹特有の生育サイクルについて学ぶ農家

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病虫害管理の指導をするカウンターパート

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生育診断,土壌診断を圃場指標から学ぶ

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果樹の結実管理を学ぶ研修農家

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果実加工品と果樹品種の試食会

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サツマイモバターの加工実習