ビデオ教材開発-ボカシ(発酵有機肥料)ともみ殻くん炭-

2020年12月23日

プロジェクトでは活動の一つとして、これまでに移転してきた栽培技術を教材として残すための取組を行っています。プロジェクト終了後も、各県の農業普及員や農家さんたちが教材を活用し、果樹や野菜栽培に役立ててもらうのが目的です。これまで30種類の栽培技術リーフレット(英語)を製作してきましたが、農家の中には英語や、現地の言葉であっても読み書きができない人もいるため、現地語であるゾンカ語でナレーションをつけたビデオ教材を開発してきました。そしてこの度「米ぬかボカシ」と「もみ殻くん炭」2種類のビデオ教材が農業省から承認され、国の公式教材としてブータン全土で活用することができるようになりました。なお、ボカシとは発酵有機肥料、くん炭はもみ殻を炭化させたもので、それぞれ土壌改良をはじめ、肥料用土材料として様々な効果を発揮するものです。

ビデオの承認までには時間と労力を要しました。制作側も慣れない撮影、編集作業、ナレーションの現地語訳と録音などに一つ一つ取り組み進めてきました。いったん形になれば関係各所からのコメントを取り付け、修正作業を行ってきたのですが、途中新型コロナウィルスによる全国ロックダウンなどの影響もあり、最終承認にこぎつけるまでには時間がかかりました。労力はかかりましたが、すでにボカシや燻炭の技術に関心を示す人たちは出てきています。例えば農業大学校では燻炭を作るための装具を準備しはじめているそうです。また、ブータン陸軍の一部組織においても自給自足で作物を栽培するために、ボカシづくりと利用を始めているという情報が入ってきています。また、「ボカシを自分で作りたい」と、バジョ農業研究開発センター(以下バジョ・センター)へ学びに訪れ、自作したボカシを確認してもらいたいと持参する農家さんもいます。

有機農業を推進するブータンにあっては、ボカシと燻炭に対する関心が高いため、今後技術が普及していくことでしょう。なお、今後もプロジェクト終了まで可能な限り栽培技術のビデオ教材を作成していく予定です。ブータンでは比較的安価なスマートフォンが普及していることで、地方に居てもインターネットが身近になった人たちが確実に増えています。またロックダウンにより、ビデオ会議、動画サービスやQRコードといったインターネットサービスがより利用されていることに着目し、これらビデオ教材をバジョ・センターのサイト他、JICAのYouTubeチャンネルにおいて公開をする準備を始めています。

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バジョ・センターの入り口に展示中の栽培技術教材

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完成したDVD

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ビデオ教材内ではカウンターパートが実際にくん炭やボカシを作成・利用している様子を捉えている。テロップは英語、音声はゾンカ語。

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ビデオ教材内ではカウンターパートが実際にくん炭やボカシを作成・利用している様子を捉えている。テロップは英語、音声はゾンカ語。

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ビデオ教材のスマートフォンでの視聴の仕方を農家さんに説明するバジョ・センターの研究員

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米ぬかボカシを自作した農家第一号。プロジェクトデモ農家でもある。

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ビデオ撮影する日本人専門家