学内教職員住宅に住む子どもたち向けの3Dデザイン講習会を開始

2022年5月16日

プロジェクトサイトの科学技術カレッジ(CST)から近い、プンツォリン市の各学校に対する、私たちのアプローチはまだはじまったばかりですが、これらの学校に通っている子どもたちが私たちの身近にもいます。大学構内の教職員住宅で暮らす子どもたちです。彼らは、毎朝ふもとの街にある学校に通い、夕方には構内に帰宅します。土曜日も、午後には帰宅しています。

市内であれば、放課後に立ち寄れるユースセンターやコミュニティセンターがありますが、大学構内にはグランド以外、これといった遊び場がありません。プロジェクトマネージャーのカルマ・ケザン先生も、小学生の息子さんをふもとの学校に通わせています。そこで、カルマ先生は、当地に駐在する日本人専門家に対して、大学構内の子どもたち向けに、3Dデザインの講習会をやってみないかと提案されました。

専門家側でも、学校アウトリーチ活動の予行演習で経験を積み上げる機会だと判断し、3Dデザインプログラム「Tinkercad(ティンカーキャド)」の操作を教えてみることになりました。

土曜午後2時間のプログラムを計画し、学内メーリングリストで父兄に案内したところ、クラスPP(日本の幼稚園年長組相当)からクラス12(高校3年生相当)に至るまで、総勢27人の子どもから参加希望が寄せられました。プロジェクトでは、これを3つの年齢層グループに分けることにし、5月14日(土)には、クラス4~8の14人が学内のコンピュータールーム「データベース・ラボ」に集まりました。

初日の講習会では、Tinkercad Classroomアカウントへのアクセスで予想以上に手間取りましたが、作業平面を開くことができた生徒たちは、山田浩司専門家による簡単な画面操作説明を聴いただけで、自分の作ってみたいデザインを、各自ですぐに試していくようになりました。中には、自分で覚えた操作方法を、近くにすわっていた別の生徒にも教えてくれる子まで現れ、講師の仕事は最低限だけで済むようになったのです。

2時間の講習で、子どもたちは、「自分のネームプレートを作る」「サイコロをデザインする」「自分だけの鉛筆立てをデザインする」という、3つの演習課題に取り組みました。自分のデザインを3Dプリンターで印刷してみたい子は、親といっしょに、後日プロジェクトの事務所まで来て、実際のプリンターの操作も体験してもらうことにしています。

大学構内教職員住宅の子どもたち向けのTinkercad講習会は、5月いっぱい、毎週土曜日に行われます。次回以降は、新型コロナウィルス感染拡大に伴うCSTの入構制限により、首都ティンプーからオンライン講義受講を余儀なくされた学生を対象に、昨年山田専門家が首都で主催した3Dデザイン講習会の参加者数名に加わってもらい、講習会実施をアシストしてもらうことになっています。

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山田専門家が提示した演習課題「サイコロをデザインする」に取り組む子どもたち(写真/大野勉)

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各面に数字シェイプを彫り込んだサイコロを作ってみる演習(画像/山田浩司)

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いろいろなシェイプをメニューから見つけ出し、作業平面上に配置する子ども(写真/山田浩司)

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3Dプリンターで出力したイヌのミニチュアを見せる山田専門家(写真/大野勉)

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作ったデザインを、他の子どもたちにも説明してもらう(写真/大野勉)