本邦研修参加予定者、デジタル工作機械操作を学ぶ

2022年8月15日

私たちの技術協力プロジェクトでは、科学技術単科大学(CST)の教職員とプンツォリン市役所職員、ブータン工業会(ABI)事務局長からなるカウンターパート10人を、8月末より約2週間、日本に派遣し、日本国内各地のファブラボを訪問し、各ファブラボの地域社会とのつながり方、地域のさまざまな関係者へのファブラボ側からの働きかけなどを学び、あわせて、わからない時には相談ができる、日本のファブラボとのネットワークの構築に取り組んできてもらうことにしています。

しかし、日本での研修に参加するカウンターパートが、今まで一度もデジタル工作を体験したことがない状態では、日本のファブラボを訪問しても、自分ごととして捉えるのは難しいかもしれません。そこで、私たちのプロジェクトでは、8月6日と13日の土曜日を利用し、本邦研修参加予定者に、実際にデザインしてデータを作成し、それを用いて初めての工作機械操作を実体験してもらい、実際にでき上ったものを、持って帰ってもらおうという、本邦研修出発前ハンズオン研修を実施しました。

1日目はTinkercadを利用した3Dデザインから、ファブラボCSTに配備されたPrusa社製3Dプリンターの操作を体験してもらう内容とし、2日目は同じくTinkercadを利用した2Dデザイン、MakerCase.comを用いたティッシュボックスのデザイン、さらにプログラムCorelDRAWを利用した2Dデザインを学び、その後ファブラボCSTのTrotec社製レーザー加工機を実際に操作して、ドアの掛け看板を作ってみるという内容にしました。両日とも、山田浩司専門家がインストラクターを務めました。

既報の通り、1日目を終えた直後には、レーザー加工機と大型CNC木材切削加工機の据付業者による操作説明会が行われ、それに参加してレーザー加工の実演を見たカウンターパートも多くいたことから、2日目の研修はCST学内関係者は参加を任意としました。結果少人数での実施となりましたが、これにより、本邦研修参加予定者全員が、ファブラボで最も使用頻度が高いと思われる2つの機械について、操作を学んだ形にはなりました。

特に、2日目のハンズオン研修参加者からは、「機械操作は覚えるのは比較的簡単だが、データを作る作業の習得には時間がかかるというのがわかった」との声が上がりました。さらには、「こんなものも作れるのでは?」とその場で新たな作品をデザインし、すぐにレーザー加工で結果を確かめようとする参加者も見られました。自分でデザインしたものを工作してみて、でき上りを確認して、さらにデザインの改善を図る---そんな実践が、彼らからさらに広がっていくことを、これからもプロジェクトで後押ししていけたらと思います。

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1日目の3Dデザイン。全員がラップトップを持参(写真/山田浩司)

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3Dデータのスライス作業を操作する参加者(写真/山田浩司)

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3Dデータのスライスを行おうとしている別の参加者(写真/山田浩司)

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レーザー加工の様子を見守る2日目の参加者(写真/山田浩司)

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でき上った作品を見せ合う2日目の参加者と山田専門家(写真/Karma Yangdon)