ファブラボCST、労働大臣を主賓に遂に開所

2022年8月26日

私たちの技術協力プロジェクトの活動拠点となる「ファブラボCST」が、8月25日(木)、科学技術単科大学(CST)構内の新設ビルの1階に誕生しました。開所式には、カルマ・ドルジ労働大臣が主賓として招かれ、首都からは、王立ブータン大学ニドゥップ・ドルジ副総長、山田智之JICAブータン事務所長、スーパーファブラボ代表等が参列し、さらに地元のプンツォリンからは、南部COVID-19タスクフォース委員長、プンツォリン市役所関係者、貿易事務所、労働事務所、入国管理局、地元初等中等学校、産業界関係者等の要人が顔を揃え、地域に対するお披露目の機会となりました。

開所式冒頭挨拶では、チェキ・ドルジ学長から、CSTにファブラボを作ろうという構想が、2016年10月のJICAブータン事務所長(当時)のCST訪問に端を発すること、それが国王陛下の目指すブータンのイノベーション立国化を可能にする環境を学生に提供することにつながると考え、JICAへの協力要請につながったことなどから過去の経緯を紐解き、これまでのプロジェクトの歩みをまとめて出席者に披露しました。そして、これまで部品調達のボトルネックにより、アイデアを形にすることがかなわなかったCSTの学生も、ファブラボの到来によってプロトタイプ製作に取り組めるようになったこと、また地域のさまざまな課題に対しても、解決策を提供できるファブラボとなっていくことを目指したいとの意向が表明されました。

続いて登壇したカルマ・ドルジ労働大臣は、こうした施設が全国に広まることにより、若者の雇用というブータン喫緊の課題への対策となりうると強調され、6月に首都で発足したスーパーファブラボや、労働省傘下の職業訓練校などとも協働して、若者の技能向上に貢献して欲しいとの期待が表明されました。労働相はご自身も工学系のバックグランドを持ち、デジタル工作機械を備えたファブラボには強い関心を抱いていたこと、とりわけ現在は野生動物が農地を荒らす獣害に苦しむ農家に対するソリューションの提供が強い関心事であることなども披露されました。

CSTの学生グループによる舞踊の披露の後、来賓による施設内の見学が行われました。3Dプリンターやデジタル刺繍ミシン、CNC切削加工機など、加工に時間がかかる工作機械については操作のデモが中心でしたが、入力の結果がすぐに形になるレーザー加工機では、各々の名前を刻印したキータグがその場で製作され、来賓に手渡されました。

「ファブラボCST」は、ブータンで初めて工科大学に併設されたファブラボであること、首都ではなく同国南西部に位置する唯一のファブラボであること、地元産業界や教育界との連携を最初から意識していること、さらには既設の5つのファブラボとの連携や日本と世界のファブラボとの連携を積極的に進めようしていることなどに特徴があります。また、グローバルなファブラボネットワークの人材育成枠組みでもある「ファブアカデミー」の卒業生4人が在籍し、電子工作やプログラミングに強みを有するラボとして、今後ブータン国内のファブラボネットワークをリードしていく存在となることが期待されます。

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テープカットを行う労働大臣とJICA事務所長(写真/CST)

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ファブラボ入居ビル入口に掲げられた記念碑(写真/山田浩司)

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式典挨拶するチェキ・ドルジCST学長(写真/Tshering Palden)

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祝辞を述べるカルマ・ドルジ労働大臣(写真/CST)

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学生グループによる舞踊パフォーマンス(写真/Tshering Palden)

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3Dプリンターの説明を行うCSTカウンターパート(写真/CST)

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大型CNC切削加工機の操作について尋ねるプンツォリン市内の学校関係者(写真/山田浩司)

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小型CNC切削加工機の操作について労働大臣に説明するCST学生(写真/山田浩司)

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プロジェクトのこれまでの歩みを写真で労働大臣に説明する山田浩司専門家(写真/山田智之)