「温帯果樹振興プロジェクト」を開始しました

2022年4月13日

2022年3月14日、農業分野の技術協力プロジェクト「温帯果樹振興プロジェクト(Integrated Temperate Fruit Crops Promotion Project)」を開始しました。

当該プロジェクトは、ブータン西部の3県(ティンプー、パロ、ハ県)を対象に、5年間の実施期間を通して温帯果樹の振興による商業的農業の実現を目指すものです。プロジェクトの実施機関は、農業森林省農業局(DoA)、国立種苗センター(NSC)パロ、国立有機農業センター(NCOA)ユシパンで、まず温帯果樹の苗木の質と生産性の向上に必要な環境整備と、職員の技術・スキルの向上を支援します。次に、対象3県の県職員、普及員、そして果樹農家への技術研修を通して、温帯果樹生産の向上を図ります。その際に、直近の技術協力プロジェクト「中西部地域園芸農業振興プロジェクト(IHPP)」で構築されたリサーチ・アウトリーチ・プログラム(ROP)に、市場志向型農業アプローチである「SHEPアプローチ」を導入し、ビジネスとして園芸作物を生産できる農家の育成を支援します。

この「SHEPアプローチ」は、2020年にJICAの課題別研修を通して初めてブータンに導入され、2021年度から開始されたブータン国別研修も含め、これまでに23名の政府職員が同アプローチの実施に向けたAction Planを作成しました。これらパイロット活動の課題・成果を受け、ブータンの農業分野の技術協力プロジェクトとしては初めて「SHEPアプローチ」のコンセプトや仕掛けを活動に組み込んでいきます。まずは、対象地域において現場レベルの小さな成功事例を導き、それらを積み重ねてブータンの状況に合った“市場志向型ROP”の構築と、ブータン農業森林省自らの実践を促進していきます。

長期専門家のブータン着任による当該プロジェクトの開始を受け、3月下旬から4月上旬にかけて、農業森林省大臣、次官、農業局長、農業マーケティング・協同組合局長への表敬訪問を行い、プロジェクトの概要の説明を行いました。その後、プロジェクト実施機関のNCOAユシパンとNSCパロを訪問し、カウンターパートとの顔合わせを行うと共に、プロジェクトと「SHEPアプローチ」の概要について説明を行い、意見交換を行いました。また、両センターの施設を視察し、環境整備に向けた基礎情報を収集しました。

2022年4月11日、農業森林省、JICA経済開発部、ブータン事務所、プロジェクト専門家およびカウンターパート出席のもと、当該プロジェクトのキックオフ・ミーティング(オンライン型)を開催しました。農業森林省次官がチェアを務め、当該プロジェクトの実施を通して、ブータン政府が新たに開始した『苗木100万本プロジェクト』への貢献と共に、温帯果樹苗木生産の向上と園芸農家所得の向上に向けた期待が寄せられました。また、チーフアドバイザーによりプロジェクトと「SHEPアプローチ」の概要の説明が行われ、関係者間でプロジェクトの本格的な実施に向けた意見交換を行いました。

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NCOA訪問1)カウンターパートとの意見交換の様子(2022年4月5日)

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NCOA訪問2)圃場視察の様子(2022年4月5日)

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NSC訪問1)カウンターパートとの意見交換の様子(2022年4月8日)

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NSC訪問2)圃場視察の様子(2022年4月8日)

【画像】キックオフ・ミーティングの様子1)農業森林省次官とブータン事務所所長(2022年4月11日)

【画像】キックオフ・ミーティングの様子2)参加者の集合写真(2022年4月11日)