「温帯果樹振興プロジェクト」カウンターパートのスタディ・ツアーを実施しました

2022年6月24日

3月半ばに温帯果樹振興プロジェクトを開始しましたが、二週間の隔離や健康診断、ワークパーミットの申請など諸々の手続きを経て、本格的な活動に移ることが出来たのは5月を迎えてからでした。赴任1カ月半後にようやく、「国立種苗センター(National Seed Centre:NSC)パロ(以下、NSCパロ)」と「国立有機農業センター(National Centre for Organic Agriculture:NCOA)ユシパン(以下、NCOAユシパン)」という新しいカウンターパートたちと共に、プロジェクトの成功に向けて最初の一歩を踏み出せたのです。

本プロジェクト本格始動から2カ月ほど経った現在、NCOAユシパンでは果樹や野菜の展示園の開墾が始まっており、6月末には第一次作業が終わる見込みです。それと同時に、カウンターパートと共に園内の土壌酸度や肥沃具合を測定し、有機材や苦土石灰など土壌改良材の必要投入量の計算練習を行いました。片やNSCパロでは、果樹品種保全のための母樹園拡張計画が進んでいます。作業はまず、園の半分を占めていた松林の伐採から始まりました。伐採が終われば、次は農林省設計課と国立土壌センター(National Soil Service Centre:NSSC)による階段ほ場設計が行われることになっています。NSCパロでもNCOAユシパンと同様に、土壌酸度や肥沃度の測定や土壌改良材投入量の計算練習を行いました。

我々は実験室や事務室に籠っているだけではありません。先進的事例を参考にして、見聞を広げて自分たちに何が出来るのか考えることも必要です。今回NSCパロでは、所長をはじめとする関係職員と作業員のスタディ・ツアーを計画しました。幸いなことに、つい去年5年半にわたる「中西部地域園芸農業振興プロジェクト(Integrated Horticulture Promotion Project in the West Central Region:IHPP)」を終えたばかりのAgriculture Research and Development Centre(ARDC)バジョが、IHPPが成果として残した豊富な知見を持って我々を待ってくれていました。果樹園の作り方やビニルハウスの使い方、ボカシ肥、燻炭、竹酢液、有機微生物材といった有機材の作り方など、新しい技術を目の当たりにしたNSCパロの職員たちはどう思い、感じたのでしょうか。実はパロに戻った翌々日には、どの技術がNSCパロに取り入れることが出来そうか、早速に協議が行われました。NSCパロの素早い動きには正直驚きでしたが、カウンターパートの熱意を感じた出来事でした。

湯浅 一充 「温帯果樹振興プロジェクト」JICA専門家(果樹生産)

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ほ場の紹介

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ボカシ肥づくり

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燻炭づくりの紹介

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竹酢液製造の紹介