第1回果樹せん定技術研修の実施

2023年1月16日

ブータンでは、リンゴやナシの実は鈴なりに生っています。実は小さくとも、生産量が重要という価値観です。実をつける枝を切断するという考えは一般的に受け入れられていません。しかし、現在ブータン政府が取り組む商業的農業の振興には、市場価値の高い園芸作物の生産が課題であり、特に果樹生産においては品質、形状ともに良質な果実を生産することが重要です。

高品質な果樹と苗木の生産に向けて、第1回目の果樹せん定技術研修が、国立種子センター(NSC)パロの3つの農園(Chundudingkha、Jewphu、Bondey)と、国立有機農業センター(NCOA)ユシパンにおいて、12月から1月にかけて、職員と作業員を対象に実施されました。

果樹生産専門家による研修は、座学と実践に分かれ、まず午前中は講義で樹木の形をどのように作り上げるべきかを学びました。良質な果実をつけさせるために陽当りのよい枝ぶりとする。そのために主となる枝を2~3本と決め、3方向に伸びるようなイメージで形成する。そして、作業効率も念頭において、適切な空間をつくるように、余分な枝を落としていく。

午後からは、座学での学びをもとに、枝が伸び放題のナシ成木をせん定していきました。“どの枝を切るべきか?”専門家の大胆なせん定に息をのむ参加者たちでしたが、5年後、10年後の樹木のフレームを想像して、演習を重ねるうちにせん定の要領を得た様子でした。果樹手入れの時期は12月~2月と限られ、技術習得には時間を要します。次年度は、今回の学びの復習と、さらに各果実成木に特化したせん定技術に取り組む予定です。

当プロジェクトでは、プロジェクト期間中、NSCパロ、NCOAユシパンの職員だけでなく、県農業職員、普及員、果樹生産農家、民間の果樹苗木生産者の果樹苗木生産及び果樹園管理に係る能力強化を図っていきます。

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講義の様子

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実技研修の様子

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せん定が完了したナシの成木

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作業員に供与したせん定作業用資材