果樹母樹園と苗木圃場の改善と整備

2023年3月15日

3月に入り、ブータンでは梅や桃の花が咲き始め、彩りのある季節になりました。カウンターパート機関である国立種子センター(NSC)パロと、国立有機農業センター(NCOA)ユシパンでは、昨秋から施設整備が継続されており、平行して、果樹母樹園の改善と苗木圃場の整備も開始されました。

エクスカベータの機材供与が2月に行われ、NSCパロの果樹母樹園では、展示テラスの整備に着手しました。NSCパロは3つの農園を有しており、Bondey園、Chundudhingkha園、Jewphu園のそれぞれに2~3か月の時間をかけて拡張工事を進めていきます。

NCOAユシパンでは、苗木圃場における技術改善が行われています。従来法の平地苗床から盛り土苗床へ変更し、手作りのスプリンクラーを設置して、苗木育成を始めました。さらに、健全な母樹から健全な穂木を採取するために、整枝剪定等の適正樹体管理技術や接木の指導も行っています。作業員たちは、果樹せん定技術研修を受けたものの、やはり実践ではどの枝を落としてどの枝を残すべきか、判断がまだ難しいようです。連日の専門家の指導のもと、作業が進められています。

芽吹きの春を迎え、昨秋に集めて播いたナシの種が数千もの芽を出しました。職員たちは育苗ポットに移植して育てた後、来年には接ぎ木を行います。それからさらに1年間十分に生育させてから、果樹苗として果樹園に植え付けられます。

このような日々の技術指導を広く紹介するために、視聴覚教材の作成が検討されており、NCOAユシパンでは、果樹、野菜各部門からビデオ作成担当が決まりました。果樹担当者は、撮影した映像を用いて接木技術のサンプル動画を作成するなど、普及教材作成に意欲を見せています。今後、ショートビデオ教材はカウンターパート機関のホームページに掲載され、プロジェクト関係者や農家の果樹苗木生産及び果樹園管理の能力の強化が図られることになります。

【画像】

NSCパロBondey園のテラス開墾開始

【画像】

リンゴ樹への高接ぎの練習(NCOAユシパン)

【画像】

従来法から盛り土式に変更した苗床(NCOAユシパン)

【画像】

採種後、消毒してから播種した台木用ナシ