参加型森林管理分野の専門家作業部会が開催されました(タンザニア)

2017年10月6日

2017年10月2日~10月6日 於:タンザニア連合共和国、アルーシャ

参加型森林管理分野で第4回となる専門家作業部会EWG(Expert Working Group)が、タンザニアで開催されました。これまでは各国から1名ずつの参加でしたが、今回からは各国2名、総勢30名が参加し議論を進めることとしました。新メンバーも積極的に発言し、新たな視点でのコメントも出され、ガイドライン策定のための議論が深まっています。また、参加型森林管理の優良事例のデータベース化につき、重要なキーワードを抽出するための参加型ワークショップも行いました。

今回の事例視察では、行政の役割について焦点を当てました。これまでのEWGでは地域住民やNGOの役割に焦点を当てて事例視察と考察を進めてきましたが、今回はアルーシャ近郊のDuluti湖森林保護区を事例として取り上げ、参加型森林管理における行政の役割について考察を行いました。事例視察当日、午前中はオルモトニ林業技術大学校(FTI)を訪れ、行政が住民参加を促進するためのヒントとDuluti湖森林保護区の取り組みについての講義を受けました。午後の現場視察では、FTIおよびタンザニア森林公社(TFS)(注1)の案内で実際にDuluti湖森林保護区を訪問しました。この保護区は地元の水源林として貴重な森林であるとともに、アルーシャ市からも近く、森林浴,バードウオッチング・カヌーなどの格好のレクリエーションの場となっています。森林を適切に保全するためには、行政だけでなく地元の森林をよく知る地域住民の協力は大変重要です。保護区を管理するTFSは保護区入場料の20%を地元の村に支払い、村民が警備員として外部者による木や魚の不法採取を防ぐ役割を担っています。この結果、年間3,000USドル程度が村の収入となり、学校改修などに活用されているとのことでした。EWG参加者からは、主に以下2つの特筆点が指摘されました。

1) 資金面での共同森林管理のメリットが理解されて住民が前向きに森林管理に参加していること。
2) 行政側からこうした共同森林管理のメリットを住民側に共有することが参加型森林管理を進める上で有効ということ。

視察を通じて、EWGの参加者もタンザニア政府が実践する参加型森林管理の理念を実感できたようです。

視察に続くEWGでは、こうした政府による地域住民との共同森林管理による資金活用に加え、国際機関などの外部資金の活用についても講義を行い、議論しました。持続的な森林管理にとって外部資金の活用は有効な手段ですが、「地球温暖化」や「気候変動」といったテーマを扱う外部資金はスケールが大きすぎるため、適応策などに的を絞った議論が必要、などの建設的な意見があげられました。

本プロジェクトでは、参加型森林管理のガイドラインに加えて優良事例集とデータベースを策定する予定であり、これらが参加型森林管理の新たな取り組みに役立つよう、今後もSADC15か国および事務局と力を合わせて取り組んでいきます。

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ワークショップをまとめるJICA専門家

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森林保護区管理者と地元住民からの取組紹介

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ガイドラインの議論