新卒の先生の指導力向上を目指して−プロジェクト概要

2016年10月18日

公立教員養成校実践的教育機能強化プロジェクト(名称:PROSPECT)は、ブルキナファソ国に存在する7つの公立教員養成校(先生の育成を担う学校でENEPと呼ばれています)のうち2校を対象とし、これから小学校の先生として働く学生の指導力を高めることを目的として、2016年2月に開始されました。

ENEPに入学した学生は、1年間同校で教育理論や技術、教科内容などを学び、次の1年間で小学校(指定された教育実習校)での教育実習に参加し、教員として必要な能力を身に付けていきます。ただし、その能力や評価基準が具体的に定義付けされていないため、教員養成校で講義を担当する教官や、教育実習校の指導教員が、おのおのの考えによって学生を指導、評価している状況です。

日本と大きく異なる点として、日本では大学の教員養成課程において、2〜4週間くらい出身校などで教育実習を行いますが、ブルキナファソではその期間が約8か月あります。これはブルキナファソが、教育が国の成長に不可欠であることを理解し、その質を高めることに力を入れていることの現れだと思います。

プロジェクトでは、以下のような活動を今後実施する予定です。
1)学生の能力到達目標(卒業時の到達目標)の明確化
2)教員養成校の教官や教育実習校の校長と指導教員、学生に対する、その能力に関する理解の促進
3)教員養成校のカリキュラムの中で、それぞれの学生がその能力を向上させるための具体的な活動の提案
4)それぞれの実習生がその能力を向上するための具体的な実習活動の提案
5)それぞれの能力を評価するための方法やその基準の提案

そして、上記の活動を通じてプロジェクトが提案した活動などを1年間現場で実践してもらい、その結果を調査し、踏まえてそれらを改善することで、全ての教員養成校でも活用できるようにしていきます。

現在、国民教育識字省(MENA)の教員養成担当部署や教員養成校、教育実習校のコミュニケーションが不十分であり、教員養成課程全体における役割分担を各自が適切に理解できていないという課題があります。そこで、その役割や業務手順を整理したものを作成することを想定しています。同課程の運営面も整理することで、各関係者が実習生に対して効果的な指導を実施することが可能になると考えています。

プロジェクトが目指していることは、ブルキナファソの小学校教育を担う学生(教員を志す学生)が、2年間で子どもたちに対して適切に指導できる能力を身に付けられるようにすることです。そのために、我々専門家は国民教育識字省の関係者と協力し、教員養成校や教育実習校の活動が、学生の能力を効果的かつ効率的に高めるものとなるように精進していきます。

これから、プロジェクト関係者の紹介や活動報告などをアップデートしていきますので、またご覧いただければ幸いです。次回のニュースをお楽しみに!

PROSPECT副総括 柳田 幸紀

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ENEP学生が身につけるべき能力に関して議論している様子

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教育実習校(小学校)における実習生の活動

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教員養成校における算数教授法の講義

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教員養成校の図書室の使用状況確認