活動紹介1:新たな先生の卵たちの能力を高めるために

2017年3月22日

第1回プロジェクトニュースで、ブルキナファソの教員養成課程において、学生は最初の1年間、公立教員養成校(ENEP)で教育理論や技術、教科内容などを学び、次の1年間で小学校での教育実習に参加し、教員として必要な能力を身に付けていくことをお伝えしました。今回は、同課程の1年目にあたる、教員養成校における教育課程の改善に対する活動についてお伝えします。

2年目の教育実習の目的が学生の実践力の向上なので、教員養成校では、学校現場での実践をほとんど考慮しないかたちで、教育理論や授業計画の作成技術、全教科の内容を学生に覚え込ませることが目的になっています。よって、教員養成校では教え込み型の講義が多くなり、学生が講義中に主体的に活動する機会が少ないため、授業実践に関連する能力を学生が教育実習前に身に付けていないのが現状です。

そこで、プロジェクトは、算数教授法と理科教授法の2教科を対象として、教員養成校の学生が2年間で身に付けるべき12の実践的指導力(注)を設定し、それを達成するのに必要な教育課程1年目の年間指導計画と、実践的な活動をまとめたガイドブックを作成しました。

(注)様々な定義が存在しますが、ここでは「児童一人一人が望ましい能力や態度を身に付けることができるよう、各児童の学習内容の理解や習熟の程度,興味・関心等に応じて、それぞれにきめ細かい指導を行うとともに、授業目標や学習内容の設定,教材や学習形態の選択等を通じて授業を計画し、実践、改善していく力」と定義します。

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年間指導計画ガイドブック

まず初めに、2015年までJICAが支援した教育プロジェクト(SMASE)によって全国展開された学習者中心の教育(ASEI-PDSI)の講義を組み入れた年間指導計画を作成し、更にそれを管理するツールを作成しました。続いて、学生の実践能力を強化するため、3つの活動(模擬授業、ケーススタディ、授業ビデオを用いた講義)について、各活動の意義や目標、作業の内容や手順、留意点を明記し、また活動で使用するツールも作成しました。そして2016年10月、そのガイドブックを教材として研修を実施し、それらの内容や実践方法を教員養成校教官に伝えました。

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教員養成校教官対象研修

教員養成校における教育課程の質向上に向けた活動の試行は2016年11月〜2017年5月まで実施されます。プロジェクトは、活動を通じて向上した学生の能力を測定するため、学生の能力評価テストを作成し、2016年11月に1回目のテストを実施しました。また、教員養成校教官や参加した学生に対するテストの問題や結果、分析結果報告書の配布を通じて、能力測定の問題作成に関する新しいアイデアを共有しました。

2017年2月に実施したモニタリングでは、各講義は作成された年間指導計画に沿って実行され、また各活動についても概ね実践されていることを確認しました。ただし、ガイドブックの手順通りに活動を実践していても、学生の意見をうまく引き出したり、実践で応用できるように具体化したりする技術を一部の教員養成校教官が持っていないため、思うように学生の実践力を強化できていない場合があることも確認できました。全ての教員養成校教官が学生の能力をより伸ばすことのできるような活動内容を提案し、その手順を、今後作成する改訂版ガイドブックに記載していきます。

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授業ビデオを用いた授業評価の講義

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学生による模擬授業の様子

次回は、教育実習校におけるプロジェクト活動をご紹介いたしますので、お楽しみに!

PROSPECT副総括 柳田 幸紀