プロジェクト概要

プロジェクト名

水道行政管理能力向上プロジェクト

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2018年4月9日

プロジェクトサイト

プノンペン都

協力期間

2018年7月4日から2023年3月31日

相手国機関名

(和)工業科学技術革新省
(英)Ministry of Industry, Science, Technology & Innovation

背景

カンボジアの水道行政は、工業科学技術革新省(Ministry of Industry, Science, Technology & Innovation 以下、MISTI)が所掌しており、2016年11月に同省水道部は水道総局に格上げされ、2018年1月時点で職員数が20名程度から57名まで増員された。しかし新規雇用された職員は水道事業の未経験者が多く、その能力強化が急務であること、及び政策立案、事業管理、認可発行、規制・監督など幅広い業務を実施するための組織体制が脆弱であることが課題であった。カンボジアでは公営水道事業体がカバーしていない地域は民営水道事業者が給水サービスを提供しているが、400以上あるとされる民営水道事業者のうち認可を持つのは226のみであり(2018年)、MISTIによる事業者の規制・監督も喫緊の課題であった。これらの課題解決のため、カンボジア政府は我が国に対し、水道総局の能力強化を目的とした本プロジェクトを要請した。プロジェクトでは、水道法令を施行するための能力が強化されることを目標に、水道総局の事業管理能力、関連施策の実施能力、水道事業者に対する規制能力および指導・モニタリング能力を強化し、人材育成の仕組みを整備すべく活動している。

目標

上位目標

水道総局によるカンボジアの水道セクターのガバナンスが強化される。

プロジェクト目標

水道総局が水道法令を施行するための能力が強化される。

成果

【成果1】水道総局の事業管理能力と組織体制が強化される。
【成果2】水道総局の水道法令施行や関連施策を実施するための制度を整備する能力が強化される。
【成果3】水道総局の水道事業者に対する規制(認可の発行を含む)能力が強化される。
【成果4】水道総局の水道事業者に対する指導・モニタリング能力が強化される。
【成果5】水道総局の人材育成に係る仕組みが整備される。

活動

成果1:
1.1 事業管理の現状について調査し、課題を抽出し解決策を提案する。
1.2 解決策を実施する。
1.3 水道総局の現在の業務実施体制・各部署の能力について調査・分析する。
1.4 1.3の結果を踏まえて、水道総局の業務実施体制に係る課題を抽出する。
1.5 各課題の解決案(ワークフローの改善案や職務分掌や手引きの作成を含む)について協議し、改善計画を作成する
1.6 水道総局の活動計画を毎年策定する。
1.7 1.5や1.6で定めた計画を実施し、実施状況をモニタリングする。
1.8 モニタリング結果に基づき、必要に応じて計画を修正する。

成果2:
2.1 水道法施行に必要な法令等(省令・基準等)の作成計画の立案・実施に必要な規制・基準部会を設置する。
2.2 水道法施行に必要な法令等について調査・分析する。
2.3 水道法施行に必要な法令等の作成計画を立案する。
2.4 プロジェクトで対応すべき、優先的な法令等を選定し、ドラフトする。
2.5 貧困層向けの水道接続を促進する制度を検討する。
2.6 水道事業実施に係る資金調達の課題や可能性について議論し整理する。
2.7 動機付けを含む人事管理や公営水道局の賃金体系について議論する。

成果3:
3.1 民営水道事業の認可や操業許可証発行の現状、発行プロセスと関与する職員の能力について調査・分析する。
3.2 3.1の結果に基づき民営水道事業の認可・操業許可証発行の効率性を高める体制(例:手順書等の作成を含む)を検討し、改善計画を立てる。
3.3 3.2の改善計画を実施する。
3.4 民営水道事業の認可・操業許可証発行に必要な審査の手順を整理し、課題を抽出する。
3.5 民営水道事業の認可・操業許可証発行に必要な審査の実施に必要な手順書などを作成する。
3.6 民営水道事業の認可・操業許可証発行に必要な審査を実施し、実施状況をモニタリングする。
3.7 3.6のモニタリング結果に基づき、審査手順や手引きを見直す。
3.8 水道総局が認可・操業許可証に係るセミナーを実施する。

成果4:
4.1 カンボジア水道事業人材育成プロジェクト・フェーズ3の活動を基に公営水道局をモニタリングするためのデータ及びニーズの分析を行い、公営水道局の公社化に向けた必要なサポートについて検討する。
4.2 公営水道局への地方巡回指導を含むモニタリング計画を作成する。
4.3 モニタリング計画を実施し、その結果を分析する。
4.4 4.3の分析結果を基に公営水道局に対する指導を行う。
4.5 水道総局において地方巡回指導の結果を発表する。
4.6 民営水道事業者に関するデータ収集状況を調査し、段階的な収集計画を立てる。
4.7 水道総局が民営水道事業者にデータベースに関する啓発セミナーを計画・実施する。
4.8 段階的な収集計画を実施し、実施状況をモニタリングする。

成果5:
5.1 水道総局職員の研修ニーズを調査する。
5.2 人事交流や出向による職員の能力強化について議論する。
5.3 5.1と5.2の結果に基づき、職員研修の優先度や研修実施に係る方針を定める。
5.4 新人研修を含む研修計画(座学・実習)及び研修カリキュラムを策定する。
5.5 研修を実施する。
5.6 研修結果をレビューし、研修計画及びカリキュラムを改定する。

投入

日本側投入

長期・短期専門家派遣、資機材供与、本邦研修

相手国側投入

カウンターパートの配置、オフィススペースの提供、プロジェクトの実施に必要な費用