地域社会開発モデル構築のための試行実践がパイロット市で始動-トロラ市で市民会議開催-

2021年10月12日

プロジェクトでは、生活改善アプローチに基づいた集落及び市での参加型開発プロセスに計画策定、実施監理、モニタリング評価とフィードバックの循環の仕組みを機能させていくことにより、地域社会開発マネジメントの枠組み・仕組み(社会開発モデル)の構築を進めています。

市レベルにおいては、市役所の主導の下で、2つのグループの活動が重要になります。すなわち、市民を代表とする「市民会議」と、官公庁の出先機関やNGO等の援助機関が参加する公的・民間の「組織間連携会議」とが、プロジェクトが目指す社会開発モデルを実践するにあたっての両輪となります。この度、他の市に先駆けて、まず、モラサン県トロラ市で、市民会議が開催されることになりました。

トロラ市では、2015年から生活改善プログラムが、個人及び家庭向けに取り組まれてきました。個人や家庭で、現状を受け入れながら将来ビジョンを持って、より良き生活をするために取り組む改善の活動です。その後、2018年から本プロジェクトが開始され、一段階上の集落レベルにおける将来ビジョンを描いた集落開発計画(PACO)の策定と活動が取組まれてきました。昨年、2020年からは新型コロナウイルス感染症により活動が1年間以上停滞し、その後も、感染が再拡大し始め、現在も住民集会の開催には難しい状況が続いています。そのような厳しい中での今回の初めて市民会議の開催は、関係者一同にとっては、非常に喜ばしい出来事となりました。

トロラ市の市民会議は、市長を筆頭に市役所が主導し、集落開発委員会(ADESCO)や、畜産農家組合、起業家グループ、女性や若者サークル、スポーツサークルなど、多種多様なで後半な市民社会の組織から代表が参加して開催されました。もちろん、その中の多くが、PACOなどの活動実践を通じて、すでに生活改善の知見、経験を持った人たちです。

第1回は、市民会議の活動として、ワークショップを開催し、有本総括の指導の下、生活改善アプローチでの5つの分野から現状と5年後の将来像に関して、取り組むグループワークを実施しました。今後、トロラ市役所と市民会議のメンバーは共同で、市民会議の役割を整理しながら、更なるメンバーの参画を進めて、徐々に組織を拡大し、構成メンバーを固めていきます。これから、市民会議のメンバーが、生活改善アプローチに基づいた市の現状と将来のあるべき姿などを記した『市民アジェンダ』を作成して、市役所、市議会に市民の声としてのアジェンダを届けて、これを市行政と市民の社会協約としていくことがその趣旨であります。これに基づいて、市は、社会開発モデル構築と実践の両輪となる「市民会議」と「組織間連携会議」の参画と協力を得て、将来像を描き共有しつつ、2023年以降の新規5か年計画策定に取り組む予定です。
プロジェクトでは、トロラ市の他にも、ホアテカ市、グアタヒアグア市、チランガ市において、社会開発モデル構築を目的として、市民会議などを通じた市民代表の組織化と社会開発モデルに基づいた市政運営への参加・協働促進を支援していきます。これらの市では、市民会議と組織間連携会議の役割やそれぞれの組織構築について、すでに話し合いが始まっています。

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建設途中のトロラ市役所建物で、市長自らが主導して、初めて市民会議が開催されました。

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グループワークのひとつでは、「地域経済」に関して、現状と5年後のビジョンを検討しました。

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グループワークでの成果を参加者の前で、代表者が発表しています。