カンターパート機関-地方開発社会投資基金(FISDL)の解体と地方開発省との活動開始-

2022年1月10日

本プロジェクトは、2017年にJICAと地方開発社会投資基金(FISDL:Fondo de Inversión Social para el Desarrollo Local)との間で合意形成された案件です。プロジェクトのカウンターパト機関であるFISDLが2021年末を持って解体されました。FISDLの建物は地方開発省(MINDEL:Ministerio de Desarrollo Local)として生まれ変わりました。

2019年6月にブケレ大統領が地方開発省(MINDEL)を立ち上げることを発表し、その後、FISDLは、MINDELへ移行されると囁かれてきました。
それから2年が経過し、2021年9月1日からFISDLの組織解体・清算が突然始められました。最初に、プロジェクト対象地域で働いていた開発アドバイザーや開発資金配布員など、FISDLの実働部隊の87人が合法的に解雇されました。その後も毎日のように様々な部署で職員が解雇されていき、最終的に12月末までに全員が解雇されました。
2022年からFISDLの主要業務であるインフラ整備部門が大統領直轄の地方自治体建設局(DOM)へ移行され、社会開発部門がMINDELへ移管されました。

一連の行政改革は、大統領府が主導して実施しており、国会の承認は得られていません。その背景にあるのは、
1)地方での社会インフラ整備が中央の複数の組織にまたがって実施されてきた体制を、より集権化させるために組織を一本化、スリム化させること。
2)政府・公的機関において杜撰な財務管理が散見されているとの政府判断の下、透明性の確保が進められていること。
3)上記に関しては、特に歴代政権の急激な地方分権化政策の下で増額していった地方自治体への交付金について、ほとんど効果的で透明性を確保した運用ができず、汚職の温床となり、中央政府のコントロールか効かなくなってきたと政府が判断したこと。
4)大統領の選挙公約である政治汚職、腐敗への取組み・対策のために前政権の大統領を筆頭に、多くの政治家や官僚の汚職が発覚し逮捕、訴追されていること。
などが、挙げられると分析されています。

プロジェクトは、上述のような大きな変更がある中ですが、プロジェクト目標達成に向けて、地方行政の能力向上を進めるとともに、市役所や市民が中心となって将来ビジョンを描き、目指す、社会開発モデルの構築を地方開発省と進めていきます。

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昨年暮れ、書類整理が進められていたFISDL執務室

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名称がFISDLからMINDELへ表記が変更された建物(変更前)

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名称がFISDLからMINDELへ表記が変更された建物(変更後)