第二回試験施工の進捗

2018年6月30日

2018年2月に第二回試験施工が開始され、約4か月が経過しました。第二回試験施工では、第一回試験施工と同じく下層路盤より上側の部分、すなわち上層路盤と表層が工事の対象で、表層工としてLBT(人力施工)(注)による常温混合舗装とチップシール舗装の2つが行われます。

チップシール舗装は、上層路盤の上にアスファルト乳剤を散布し、直後、アスファルト乳剤で事前にコーティングされた骨材を“チッピー”と呼ばれる骨材散布機で散布して転圧する工法です。今回はこれを2回繰り返しましたが、2層構造になることからDBST(Double Bituminous Surface Treatment)とも呼ばれています。

常温混合舗装(CMA:Cold Mix Asphalt)はアスファルト乳剤、骨材、石粉、フィラー、水などをパンミキサーで攪拌し、手押し車に乗せて施工現場へ搬入し、ショベルによるLBTでアスファルト混合物を散布し、転圧する工法です。

チップシールを主に工事した月の作業員は481人・日であり、常温混合舗装を主に工事した月は576人・日です。このようにLBTにより周辺コミュニティのマンパワーを極力生かし、かつ施工データを収集しながら工事を実施しています。

特筆すべきは作業員の習熟度のスピードです。工事初期段階ではチッピーがまっすぐ進まず、骨材がうまく散布されない箇所を手作業でショベルにより撒いていましたが、何度もチッピーを使っていると、どんどんコツをつかみ、チッピーがまっすぐ進むようになり、人力による骨材の撒きだしはほぼ不要となりました。チップシール工におけるチッピーを使用するメリットは、取り扱いが簡単であるため、未経験の作業員でもすぐ作業に慣れ、品質の安定を図ることができることが挙げられます。

また、常温混合舗装ではパンミキサーと呼ばれる機材を新しく使用しました。これは第3国研修において南アフリカで使用されているものを参考とし、ガーナ国で製作したものです。攪拌スピード、攪拌能力、攪拌するためのプレートの大きさや角度、アスファルト混合物の取り出し口等、改良に改良を加えて安定したアスファルト混合物を提供できるようになりました。ガーナ国内のパンミキサーの多くは輸入であり、実際に製作した経験がほぼないため、ここで得られた経験は、ガーナ国内におけるパンミキサーの製作技術の向上に大きく貢献したと考えます。

(川崎育将/施工管理)

(注)LBT:Labor-based Technologyの略称。最低限必要な機械を使用する以外、人力で道路整備を行う労働集約型の工法のこと。

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チッピーによる骨材の散布状況

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パンミキサーによる常温混合材を製作状況