プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)稲作生産性向上プロジェクト
(英)Ghana Rice Production Improvement Project

対象国名

ガーナ

署名日(実施合意)

2021年12月14日

プロジェクトサイト

ポン・ウェタ・ボンタンガ・トノの4灌漑地区、および詳細計画により選定される天水稲作の対象郡

協力期間

2022年3月1日から2027年2月28日

相手国機関名

(和)食糧農業省、ガーナ灌漑開発公社
(英)Ministry of Food and Agriculture(MoFA)、Ghana Irrigation Development Authority(GIDA)

背景

ガーナ共和国において、コメはメイズに次ぐ主食の一つであり、国内の米生産量は2004年~2015年の間に年間24万トンから64万トンに急増しました。同時に、国内のコメ消費量も近年の人口増加、都市化、食習慣の変化により、100万トンを超えて急激に伸びており、国内生産量が消費量に追い付かない状況にあります。そのため、消費量と生産量の差は輸入米で補っており、食糧安全保障及び外貨確保の観点から、国産米の生産増加及び安定的供給はガーナ政府にとって緊急の課題となっています。
このため、ガーナ政府は、農業分野の旗艦戦略として、2017年に策定した「Planting for Food and Job(PFJ)」においてコメを優先的戦略作物の一つと定め、その生産性向上等に向けた取り組みを推進してきました。また、コメ生産量の倍増により自給達成を目指す「国家稲作開発戦略(NRDS)」(2019年~2030年)も策定されています。
こうした状況の下、JICAは技術協力プロジェクト「天水稲作持続的開発プロジェクトフェーズ2(2016年~2021年)」(天水2プロジェクト)及び「ポン灌漑地区における小規模農家市場志向型農業支援・民間セクター連携強化プロジェクト(2016年~2021年)」(KISプロジェクト)を中心にガーナにおけるコメの生産性向上に貢献してきました。これらの協力に対するガーナ政府の評価は高く、両プロジェクトの終了後にも天水、灌漑稲作技術の普及を一層推進するために、本案件による技術協力が要請されました。先行案件で確立した改良稲作技術の開発・普及手法を活用し、本事業はこの技術を全国展開するために効果的かつ持続的な普及体制の構築に取り組むものです。

目標

上位目標

ガーナ国内のコメ生産量が増加する。

プロジェクト目標

対象郡(天水稲作)および対象灌漑地区においてコメ生産量が増加する。

成果

1.稲作普及ガイドライン(REG:Rice Extension Guideline)が対象郡の自治体や農家に活用される。
2.対象灌漑地区において、参加型灌漑管理および稲作技術にかかる水利組合(WUAs)の能力が強化される。
3.コメセクターに関する政策戦略および調整機能が強化される。

活動

活動0.詳細計画

0-1-1.選定基準に基づいて天水稲作の対象州を決定する。
0-1-2.対象州において、稲作普及ガイドラインに基づいた研修を州農業事務所に対して開催する。
0-1-3.対象州の稲作普及ガイドラインと、同州内の稲作に関心があるすべての対象郡に対して、プロジェクトの目的と内容を説明するための導入ワークショップを実施する。
0-1-4.対象州内にて、対象郡を決定する。
0-1-5.対象コミュニティおよび農家グループ/農家を決定するため、社会経済調査および農業生態調査を実施する。
0-2-1.選定基準に基づいて天水稲作の対象州を決定する。
0-2-2.対象灌漑地区において、水利組合の状況調査を実施する。
0-2-3.対象灌漑地区において、プロジェクトの目的と内容を説明するための導入ワークショップを実施する。
0-3-1.NRDSおよび国家コメセクター調整評議会(NRCC)の技術支援における活動計画が作成される。
0-4-1.詳細計画を最終化させる。
0-4-2.ベースライン調査を実施する。

活動1.天水稲作

1-1.天水2プロジェクトに関連する活動のモニタリングを実施する。
1-2.天水2プロジェクトの対象州において、同案件の成果および成功に関するメディアキャンペーンを行う(ラジオ、テレビ、ポスター、リーフレット、情報センターなどを利用)。
1-3.普及活動予算の確保に向けて、対象郡の稲作普及ガイドラインに基づいた研修を、郡調整局長、郡計画担当職員、郡農業局職員などを対象に実施する。
1-4.稲作普及計画の策定とその実施のための予算確保に関し、郡政府に対する支援を行う。
1-5.異なる作期ごとに対象郡の農業局職員を対象に稲作技術研修を実施する。
1-6.展示圃場に最適な土地の選定とその設置を行う。
1-7.展示圃場にて、対象農家グループ/農家に対して実地研修およびフィールド視察活動を実施する。
1-8.対象農家対象農家グループ/農家に対し、M&Eツールを利用して、フォローアップを行う。
1-9.対象州における展示圃場での成果や農業生態条件を踏まえて、稲作普及ガイドラインの適正化を行う。
1-10.対象農家グループ/農家の優良事例を特定する。
1-11.非対象郡、非対象州および他ドナーを対象に情報共有ワークショップを開催する。
1-12.対象州において非対象農家に向けて稲作普及ガイドラインに基づいた稲作技術の情報を普及する。
1-13.フィールド・デーを設け、非対象農家を展示圃場に招待する。
1-14.対象郡において、非対象農家グループ/農家に対し稲作普及ガイドラインに基づいた稲作技術の採用に関し、モニタリングを行う。
1-15.エンドライン調査を実施する。

活動2.水利組合支援および灌漑稲作

2-1.水利組合の会員名簿を準備する。
2-2.GIDA本部およびKISプロジェクトのカウンターパートが、対象灌漑地区の対象灌漑地区GIDA事務所職員、その灌漑地区を所管する州のGIDA事務所職員および対象水利組合会員に対して、ガイドライン/マニュアルに基づいた研修を実施する。
2-3.水利組合設立ガイドラインに基づいて、対象組合の正式登録を支援する。
2-4.水利組合のアクションプラン策定を支援する。
2-5.アクションプランに基づいた組合活動の推進のため、組合の月例会議開催を支援する。
2-6.KISプロジェクトで作成された種子生産マニュアルに基づき種子生産農家に対する研修を実施する。
2-7.保証種子の生産を行う。
2-8.保証種子や高品質米の供給・販売を行う。
2-9.対象灌漑地区およびKISプロジェクト支援サイトにおいて、水利組合に対するモニタリングおよび技術支援を行う。
2-10.対象灌漑地区およびKISプロジェクト支援サイトの経験状況を踏まえて、ガイドライン/マニュアルを改訂する。
2-11.非対象灌漑地区および他ドナーを対象に情報共有ワークショップを開催する。
2-12.ベースライン調査を実施する。

活動3.コメセクターにおける政策の実施支援

3-1.NRDS-2の実施に向けたアクションブラン策定を支援する。
3-2.民間セクターや他ドナーも招待されるNRCCの定例会議に対し、技術的助言を行う。
3-3.アクションプラン、NRDSおよびNRCCの関連活動の実施にかかるモニタリングを支援する。
3-4.モニタリングを通して、NRCCの能力強化のために必要な技術支援ニーズを見出し、提供する。
3-5.当プロジェクトの成果の活用してもらうことを目的とし、NRCCメンバー、民間セクター、他ドナーなどとその情報の共有を行う。
3-6.介入を要する緊急の課題に対する対応策にかかる助言を行う。
3-7.コメセクターのステークホルダーとの相乗効果発現、負担の重複回避等に係る調整を支援する。
3-8.国産米消費促進キャンペーンを実施する。

投入

日本側投入

1.長期専門家:5名

総括/稲作技術、水利組合支援、農業普及、コメセクターおよび稲作政策、プロジェクト調整

2.短期専門家

種子生産、農業機械、マーケティング等の専門家派遣を必要に応じて検討

3.研修員受け入れ:カウンターパートの本邦もしくは第三国研修

4.機材供与:本事業の実施に必要な機材

プロジェクト車両、籾摺り機、精米機、低温乾燥機等

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のための執務スペースや施設、現地経費の提供