プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)5S-KAIZEN-TQMに焦点を当てた母子保健医療サービスの質の改善プロジェクト
(英)Quality of Care for Maternal and Newborn Health with focus on 5S-KAIZEN-TQM

対象国名

ガーナ

署名日(実施合意)

2022年2月25日

プロジェクトサイト

アシャンティ州、ノーザン州、グレーターアクラ州、ボルタ州

協力期間

2022年5月13日から2027年5月12日

相手国機関名

ガーナ保健サービス

背景

ガーナ共和国(以下、「ガーナ」)では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成への取り組みの結果、母親と子どもの死亡率が1990年から半減するなど健康状況に改善がみられたものの、5歳未満児死亡率は52(出生1000対)、妊産婦死亡率は310(出生10万対)(Ghana Maternal Health Survey、2017)にとどまっている。2017年4月開催のヘルスサミットでは、さらなる健康改善に向け、保健医療サービスの質の改善が喫緊の課題として提唱された。
ガーナでは、2016年12月にヘルスケアの質に関する国家戦略(National Healthcare Quality Strategy 2017-2021。以下、「NHQS」)と年間行動計画が作成され、保健医療サービスの質改善の機運が非常に高まっている。JICAは2018年2月に「第1回アフリカ保健ケアの質と安全のフォーラム」に保健省、ガーナ保健サービスと共に参加し質改善分野の支援を開始した。ガーナ保健サービスも5S-KAIZEN-TQM講師訓練やカイゼンマネージャーフォーラムを実施するなど、講師の育成及び啓発を開始し、NHQSにおいて母子保健医療サービスの質改善に係るガイドラインが整備されたが、本格的な導入・開始には知見、資金ともに不足している。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、ガーナにおいても母子保健を始めとした基本的保健医療サービス等の供給・需要に大きな影響を及ぼしたことから、健康危機下においても保健医療サービスを継続提供しうる医療施設の質の向上・マネジメント能力向上の必要性がこれまで以上に増している。
本事業は、アシャンティ州、ノーザン州、グレーターアクラ州及びボルタ州の4州において、母子に焦点を当てたガーナケア品質基準の実施、5S-KAIZEN-TQM導入による中央と地方(州、郡、亜郡、コミュニティ)の保健システム及び医療施設の質改善活動の実施、母子継続ケアの質改善、及びリファラル/カウンターリファラルの強化を行うことにより、対象施設での妊産婦と新生児に対する質の高いケアの提供能力の改善を図り、もって対象州において妊産婦と新生児に対するケアの質の改善に寄与する。

目標

上位目標

対象州において医療施設における妊産婦と新生児に対するケアの質が改善する。

プロジェクト目標

対象州の医療施設において妊産婦と新生児に対する質の高いケアの提供能力が改善する。

成果

1.対象施設において母子保健に関するガーナケア品質基準が実践される。
2.中央、地方(州、郡、亜郡、コミュニティ)各レベルの保健システムにおける質改善活動が5S-KAIZEN-TQMの実施にて実践される。
3.アシャンティ州において妊産婦および新生児への継続ケアの質改善のための能力が強化される。
4.州レベルからCHPSレベルでのシステム改善によって、妊産婦および新生児のリファラル/カウンターリファラルが実施され、強化される。

活動

成果1.対象施設において母子保健に関するガーナケア品質基準が実践される。

1-1.母子保健に関連した指標に焦点を当てたDHIMS2の月次品質保証報告を見直し、更新する。
1-2.報告の標準作業手順書と活動1-1によって更新されたDHIMS2指標の月次品質保証報告のための雛形を作成する。
1-3.州レベルの医療情報事務官と品質管理者に対して合意された月次品質保証報告に関する能力強化を行う。
1-4.母子保健に関するガーナケア品質基準のリフレッシャーToT(Training of Trainer)を行い、既存の研修マニュアルに基づいた研修教材を作成する。
1-5.母子保健に関するガーナケア品質基準の州レベルでのToTを実施する。
1-6.ガーナケア品質基準に関して、カスケード研修を州病院からCHPSレベルまで実施する。
1-7.HCとCHPSにはコミュニティスコアカードを用いながら、病院レベルには患者満足調査を用いて患者からのフィードバックシステムの強化を図る。
1-8.安全な母子保健医療サービス提供に必須の医療機器を調達する。
1-9.対象の保健医療施設において、母子保健に関するガーナケア品質基準のモニタリング・スーパービジョンを実施する。
1-10.「ガーナ保健サービス患者憲章(2002)」を、「保健医療従事者憲章」を含める形で見直し、改訂を行う。
1-11.改訂した「ガーナ保健サービス患者憲章」と「保健医療従事者憲章」の普及ワークショップを州レベルで行う。

成果2.中央、地方(州、郡、亜郡、コミュニティ)各レベルの保健システムにおける質改善活動が5S-KAIZEN-TQMの実施にて実践される。

2-1.対象州に対して5S-KAIZEN-TQMに関するカイゼン管理職フォーラムを開催する。
2-2.5S-KAIZEN-TQMにかかる研修マニュアルと教材を作成する。
2-3.5S-KAIZEN-TQMを用いた質管理にかかるマスタートレーナー研修を実施する。
2-4.対象州において、5S-KAIZEN-TQMを用いた質管理に関する州及び郡ファシリテーター研修を実施する。
2-5.対象州の対象医療施設において5S-KAIZEN-TQMを用いた質管理に関する研修を州レベルで実施する。
2-6.5S-KAIZEN-TQMを用いた質管理に関する本邦研修を実施する。
2-7.5S-KAIZEN-TQMを用いた質管理に関する第三国研修を実施する
2-8.対象医療施設において5S-KAIZEN-TQMに関するモニタリング・スーパービジョンを、活動1-9と並行して実施する。
2-9.実施研究を通じて質改善システムにおける5S-KAIZEN-TQMの適用効果を測る。
2-10.GHSで国家品質調整委員会を組織し、GHSにおいて5S-KAIZEN-TQM活動レビューを行う会議を半年毎に開催する。
2-11.対象州の病院を対象に、5S-KAIZEN-TQMの活動を計画、モニタリング、評価を行う州レベルでのレビュー会議を年1回開催する。
2-12.対象郡において、5S-KAIZEN-TQMの活動を計画、モニタリング、評価を行う郡レベルでのレビュー会議を四半期に1回開催する。

成果3.アシャンティ州において妊産婦および新生児への継続ケアの質改善のための能力が強化される。

3-1.医療従事者対象の栄養カウンセリングサービス及びリスペクトフルケア研修を対象医療施設で実施する。
3-2.州及び郡ファシリテーターがアシャンティ州の対象郡においてモニタリング・スーパービジョンを実施する。
3-3.国家ファシリテーターが対象とする州のモニタリング・スーパービジョンを実施する。

成果4.州レベルからCHPSレベルでのシステム改善によって、妊産婦および新生児のリファラル/カウンターリファラルが実施され、強化される。

4-1.リファラルに関する既存のガイドライン、標準作業手順書及びツールを見直し、改訂する。
4-2.見直されたリファラルに関するガイドライン、標準作業手順書及びツールを用いた簡易勉強会を州レベルから医療施設において実施する。
4-3.州レベルでリファラル/カウンターリファラルシステムにおける改善に関する計画立案のための会議を開催する。
4-4.州レベルでの会議で特定されたリファラル/カウンターリファラルシステムの改善のための活動を実施し、見直す。

投入

日本側投入

1.専門家派遣:総括/保健システム、質改善、母子保健、5S-KAIZEN-TQM、業務調整/研修管理等
2.研修員受入:本邦研修(病院の質管理)、第三国研修(病院の質管理)
3.機材供与:車両、安全な母子保健医療サービスに必須となる医療資機材
4.プロジェクト運営に必要な経費

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.案件実施のためのサービスや施設、現地経費(近距離・市内交通費や会議参加費用等)の提供