プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)移民送金を通じた金融包摂推進アドバイザー
(西)Asesor para promoción de inclusión financiera por medio de remesas de inmigración

対象国名

グアテマラ共和国

プロジェクトサイト

グアテマラ全土

協力期間

2022年3月16日から2025年3月15日(計36カ月)

相手国機関名

(和)全国協同組合庁(INACOP)
(英)National Institute for Cooperatives

背景

グアテマラは、2011年から2019年にかけて、年平均で約3.7%のGDP成長率を記録している(グアテマラ中央銀行)一方、貧困率は2006年の51%から2014年の59.29%へと悪化しており、人間開発指数(国連開発計画(UNDP、2020)は中南米・カリブ地域において4番目に低い。国内地域間格差も顕著であり、貧困率は都市部の42.1%に対し、農村部は76.1%となっています(グアテマラ国立統計院、2014)。そのような貧困に起因する理由により北米を目指す出稼ぎ移民が発生しており、不法越境・不法滞在する者が後を絶たず、域内の政治・社会・経済問題となっています。
合法・非合法にかかわらず、在米グアテマラ人推計340万人は本国の家族へ月額平均約370米ドルの送金を続けており(出典:IOM(2017))。その送金額は年々増加しています。2011年には43.8億ドルであった移民送金額は2020年には過去最高額の113.4億ドルとなり、GDP比14.7%に達しました。
移民送金は家の建設、食料品の購入等に使われ、家計を支えている一方で、教育や、設備・インフラ等生産的な投資に使われる割合はわずか5.4%と、移民送金受益者の生活改善・生活向上や地方経済の雇用創出に十分繋がっていないことが課題です。
グアテマラには、約2,300の協同組合が存在し、業種は信用組合や農業、工業、輸送、不動産等多岐に渡り、組合員数は約350万人、グアテマラ全人口の約20%に達しています。特に地方においては、民間企業の進出が限定的であることから経済活動における協同組合の重要性が高く、また多くの協同組合員が移民送金の受益者です。協同組合の新規登録や運営、行政手続等の管理監督・指導を行っているのが全国協同組合庁であり、グアテマラ全土に20の事務所があります。
多くの協同組合が預金、貸付等の金融商品を有している一方、貯蓄口座の利用が限定的であること、緊急時に十分な融資を受けられない等必ずしも十分に機能しているとは言えない実態も上記調査で明らかになっています。また利用者である組合員の収支の管理や貯蓄の重要性を理解していない等金融知識の不足問題も確認されています。商業銀行等が貯蓄の推進等金融教育を実施しているものの、読み書きができる者を対象としており、こうした地域における読み書きが十分にできない多くの住民は金融教育を受ける機会を十分に得られておらず、金融サービスが行き届いていないため移民送金を投資に充てる環境が醸成されていません。
グアテマラ政府は貧困層を対象とした社会開発・貧困削減政策を重視しており、2032年を目標年とした国家開発計画「K’atun 2032」においては、協同組合の競争力強化・形成促進、農村地域の協同組合の技術支援や融資の促進等を掲げており、毎年100程度の協同組合が新規に登録されています。しかしながら、協同組合の運営監督・支援等を行っている全国協同組合庁は職員に対して十分な技術指導や金融教育を行えておらず、同庁の職員及び協同組合への技術指導に関して支援の必要性があります。
本案件を通じて、協同組合が抱える課題を整理・分析し、全国協同組合庁が協同組合に対して課題に対応した金融・非金融サービスを提供するための技術指導を行い、農村地域における金融機関の業務拡大、投資資金の調達や運転資金等の確保を含め発展的・安定的な組織運営を目指します。

目標

上位目標

グアテマラの協同組合による金融・非金融サービスを通じて、移民送金受領者の生計が向上する。

プロジェクト目標

全国協同組合庁職員及びパイロットサイトの協同組合の金融・非金融サービスの提供能力が強化される。

成果

1.全国協同組合庁の職員による協同組合向け金融教育の普及に係る指導能力が強化される。
2.パイロットサイトの協同組合の会計・経理管理能力が強化される。
3.パイロットサイトの協同組合の運営・投資計画が策定される。
4.成果1~3をとりまとめ、全国協同組合庁において協同組合への研修プログラムが策定される。
5.協同組合による金融サービス・非金融サービスの提供について知識が醸成される。

活動

1-1.グアテマラ国内及び他国での協同組合による金融サービス・非金融サービス、組織運営、法令等に係る情報収集・整理を行う。
1-2.全国協同組合庁職員を対象に、金融教育に係る職員育成のための研修計画の作成を支援・指導する。
1-3.活動1-2に係る教材及び指導書の作成を支援・指導する。
1-4.全国協同組合庁職員に対する研修を実施する。

2-1.パイロットサイトを選定する。
2-2.パイロットサイトの協同組合に対して会計・経理管理状況確認のための調査を実施する。
2-3.パイロットサイトの協同組合に対して会計・経理管理研修を企画・実施する。
2-4.パイロットサイトの協同組合に対して状況をモニタリング/評価し、研修内容を改定し、必要に応じ再研修を実施する。

3-1.パイロットサイトの協同組合に対して、運営・投資計画に係る現状確認のための調査を実施する。
3-2.パイロットサイトの協同組合に対して組織運営に係る研修を企画・実施する。
3-3.パイロットサイトの協同組合の運営計画策定の支援をする。

4-1.成果1~3の活動が相互に連携し、効果を高めるための協同組合を対象とした研修プログラムの全体計画を作成する。
4-2.4-1について、対象地域・協同組合以外も含む関係機関(農牧省、経済省等他省庁、市役所等)と共有し、意見を収集する。

5-1.グアテマラ国内の金融サービスへのアクセス状況に関して情報収集・分析を行う
5-2.協同組合による金融サービスの提供について全国協同組合庁及びパイロットサイトの協同組合を対象にワークショップを行う。

投入

日本側投入

専門家派遣、機材供与、ローカルコンサルタント雇用

相手国側投入

カウンターパートの配置、案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供