プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)地域に根差した金融包摂推進を通じた貧困削減プロジェクト
(英)Project of Financial Inclusion for Poverty Reduction through Local Financial Institutions

対象国名

ホンジュラス

署名日(実施合意)

2022年6月8日

協力期間

2022年10月14日から2027年11月30日

相手国機関名

(和)国家協同組合監督委員会、ホンジュラス信用組合連合(FACACH、FEHCACREL)
(西)CONSUCOOP(Consejo Nacional Supervisor de Cooperativas), FACACH(Federación de Cooperativas de Ahorro y Crédito de Honduras), FEHCACREL(Federación Hondureña de Cooperativas de Ahorro y Crédito, Limitada)

背景

ホンジュラスの1日1.90ドル以下の所得で暮らす貧困層の割合は14.8%(2019年)であり、中南米地域の最貧国の1つとなっています。これまでホンジュラス政府は貧困削減を最重点施策の1つと位置づけており、1990年代から条件付現金給付制度(CCT:Conditional Cash Transfer)による貧困世帯を対象とした支援を実施しています。これは、最貧困層に対し、子供の健康診断や学校への通学を条件に、現金を支給する制度であり、保健や教育への投資を促し、次世代の人的資本形成を促すことによって、貧困サイクルを断ち切り、貧困から脱却することを目的としています。CCTを所管する社会統合副省は、CCT受給世帯の貧困状況改善を目的に、現金給付と併せて受給世帯が自ら生活改善や生計向上に取り組むための能力向上を図るため、技術協力「金融包摂を通じたCCT受給世帯の生活改善・生計向上プロジェクト(2015-2020)」を実施し、家計管理や計算等のライフスキル支援、貧困層向け金融サービス提供(金融包摂)支援、職業訓練・収入多様化支援を行う生計向上促進モデル(通称:ACTIVOモデル)の構築と普及を行いました。その結果、同モデルが全国に普及し、対象世帯の貧困削減が確認されました。
ホンジュラス政府は国家金融包摂戦略を策定し、口座維持費がかからず、低所得層でも保有しやすい基礎的口座の開設等を進めることで金融包摂を進めてきましたが、2017年時点の金融口座を所有する15歳以上の人口割合は45%にとどまっています。先行事業では最貧層の金融包摂を進めることにより貧困削減に貢献しましたが、ホンジュラスにおける金融包摂には銀行間送金、支店以外のエージェントによる取引やデジタル金融サービスの提供にかかる規制改革やインフラ整備、イノベーション促進ファシリティーの設置等、いまだ課題は多くなっています。
ホンジュラスで金融包摂促進に関わる金融機関は、商業銀行、ノンバンク、マイクロファイナンス機関、通信会社等様々ですが、その中に全国に89ある信用組合があります。信用組合は地域コミュニティや職業組合と密接な関係があり、貧困層や低所得層、女性の金融包摂面で大きな役割を担える可能性がある一方、規制・監督機関や内容が他金融機関とは異なり、提供できるサービスに制限があり、顧客ニーズに合った商品開発が十分に行えていません。
かかる背景から、金融サービス及び非金融サービスを通じて貧困削減を図るべく、顧客との関係における信用組合の特殊性、それに基づく比較優位性などを検討の上、その規制・監督制度の改善、貧困層向け金融・非金融サービスの開発、金融機関主導型の生計向上アプローチの開発、及び普及体制の構築等に取り組むことが必要とされています。

目標

上位目標

対象地域及びその他の地域において、金融包摂と金融教育を通じて顧客の生計向上能力及び手段が強化される。

プロジェクト目標

対象地域において、金融包摂と金融教育を通じて顧客の生計向上能力及び手段が強化される。

成果

1.金融包摂を促進するため、信用組合向けの適切な規制及び監督体制が強化される。
2.金融包摂を通じた生計向上アプローチガイドラインの開発を目的に、信用組合の事業戦略とサービス改善のためのパイロット事業が実施される。
3.生計向上アプローチガイドライン及び普及計画が承認される。
4.生計向上アプローチガイドラインの普及体制が構築される。

活動

成果1に関する活動

1-1.金融包摂を促進するに当たって信用組合が直面する課題を特定するため、規制の分析を行う。
1-2.国家協同組合監督委員会(CONSUCOOP:Consejo Nacional Supervisor de Cooperativas)を対象に規制及び監督に関するセミナー・研修を実施する。
1-3.ホンジュラス信用組合連合(FACACH:Federación de Cooperativas de Ahorro y Crédito de Honduras 及びFEHCACREL:Federación Hondureña de Cooperativas de Ahorro y crédito, Limitada)とCONSUCOOPによる規制見直しのための調整会議を実施する。
1-4.金融包摂を促進するための規制の見直し及び改正を行う。
1-5.信用組合向けに規制と監督に関するセミナー・研修を実施する。

成果2に関する活動

2-1.信用組合のSWOT分析を行うため、市場調査を実施する。
2-2.選定基準を設定の上、パイロット事業に参加する信用組合を選定する。
2-3.ターゲティングとポジショニングのために信用組合の経営戦略の見直しを行う。
2-4.ACTIVOモデルを参考に、対象セグメントに応じた新規金融商品・デジタルサービスの開発を行う。
2-5.職業組合と連携し、ACTIVOモデルを参考に、金融教育を含む非金融サービスの開発を行う。
2-6.新規サービスをパイロット事業として提供する。
2-7.パイロット事業のインパクト評価を実施する。

成果3に関する活動

3-1.規制の改正とパイロット事業の結果の分析を行う。
3-2.金融サービス及び非金融サービスで構成される生計向上アプローチガイドラインを作成する。
3-3.生計向上アプローチの普及計画を作成する。
3-4.成果4の活動に基づき生計向上アプローチの更新を行う。

成果4に関する活動

4-1.FACACH及びFEHCACREL傘下の信用組合を対象に生計向上アプローチ研修を実施する。
4-2.信用組合が生計向上アプローチを採用するための支援を行う。
4-3.優良事例を中米諸国に共有するためのセミナーを開催する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
業務主任者/経営戦略1
副業務主任者/経営戦略2/インパクト評価
金融サービス開発/デジタルサービス
金融規制・監督
生計向上/非金融サービス開発/ジェンダー
研修/普及
2.ローカルコンサルタント等
3.本邦研修/第三国研修
4.機材供与(車両、オフィス機器等)
5.現地活動費

相手国側投入

1.カウンターパートの設置
2.活動経費
3.執務スペース(プロジェクトオフィス)