プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)西バルカン地域国家森林火災情報システム(NFFIS)とEco-DRRによる災害リスク削減のための能力強化プロジェクト
(英)Project on Capacity Building for Disaster Risk Reduction through National Forest Fire Information System(NFFIS)and Eco-DRR

対象国名

コソボ共和国(以下、コソボ)

署名日(実施合意)

2020年10月2日

プロジェクトサイト

プリシュティナ、レストリッツェ、(オプション活動:イストック)

協力期間

2021年3月2日から2026年2月28日(5年間)

相手国機関名

(和)内務省危機管理庁
(英)Emergency Management Agency, Ministry of Internal Affairs

背景

コソボ及びモンテネグロは、西バルカン地域に位置し、それぞれ国土の約半分を森林が占める国です。森林の多くが山岳・丘陵地帯に位置しており、土壌保全や流域管理の観点から山地における森林生態系の維持・管理が必要となっているなか、自然災害として頻繁に発生する森林火災が森林生態系に与える深刻な脅威の一つとなっているため、早期の対策が急務となっています。
日本は、同じ西バルカン地域にある北マケドニア国に対して、マケドニア森林火災情報システム(MKFFIS:マクフィス)の整備を通じて、森林火災を中心とした災害に対応できる体制の構築を行い、防災・減災の能力強化という観点で、北マケドニア政府からも高く評価されました。このような一連の対北マケドニア協力および下記のような現状を踏まえ、このたびコソボ政府及びモンテネグロ政府より類似の協力実施の支援要請がなされました。

コソボはバルカン半島中央部に位置する内陸国で、周囲を山に囲まれており、特に西側及び南側国境には2,000メートルを越える山々が連なり、自然災害として、森林火災、洪水、地すべり、暴風や冬季の吹雪・雪崩などが確認されています。
森林火災の発生は、森林資源の減少や生物多様性に影響を与えるだけなく、森林の回復が遅れることにより土砂流出など他の自然災害の発生を招く可能性があり、被害を最小限に抑えるためには早期発見・対策が非常に重要です。それには、衛星画像を活用した上空から国土全体を監視するシステムの活用が有効です。
また、コソボで発生する自然災害の件数では、森林火災(70%)、疫病の発生(37%)に続き雪崩災害(27%)が掲げられています。コソボ政府もこれまでに植栽等の対策を行っていますが、体系的な技術の不足などにより活着率が悪く、有効な対策となっていません。

目標

上位目標

コソボにおける統合危機管理システム(IEMS)が、森林火災及びその他自然災害を防ぐための取り組みに対する政府機関の能力向上を通じて強化される。

プロジェクト目標

森林火災及びその他自然災害の防災・減災にかかる政府関係者の能力が、NFFIS及びEco-DRRの導入を通じて強化される。

成果

1.森林火災モニタリングのためのNFFISが開発、試験、運用される
2.特定の災害からの被害防止のために必要なEco-DRRの手法が実証される

活動

成果1.森林火災モニタリングのためのNFFISが開発、試験、運用される

1-1.NFFIS開発の方法論、定義・概念図を作成する。
1-2.既存のリソースについて調査を行い、NFFISの開発に向けた隔たりを明確にする。
1-3.NFFISの技術的な機能仕様書を作成する。
1-4.NFFIS開発に必要な機能と設備を構築する。(開発含む)
1-5.NFFIS運用に向けEMA職員に対しNFFISに係る技術その他必要な研修を実施する。
1-6.関係機関と共にNFFISの統合危機管理システムへの統合に向けた計画を作成する。
1-7.NFFISの運用と共に1-6の計画を実施する。
1-8.NFFISとその拡張サービス機能を政策・計画に反映させる。

成果2.特定の災害からの被害防止のために必要なEco-DRRの手法が実証される

2-1.湿雪雪崩からの資産保護のための規制および自然に基づく試験的な物理オプションを設計する。
2-1-1.レステリッツェ村において雪崩の影響を受ける可能性のある斜面を特定する。
2-1-2.実施可能な土地利用規制について、対象地を所管する地方自治体及びコミュニティと協議する。
2-1-3.雪崩の影響を受ける可能性のある試験施工場所以外の斜面のための、土地利用に係る参考資料を取りまとめる。
2-1-4.レステリッツェ村における雪崩からの資産保護のため、過去に行われた植林に関係した既存の取り組みについて確認する。
2-1-5.雪崩防止林の造成のための補助工として効果的な複数の技術工法の試験地を設定し、施工する。
2-1-6.試験地において毎年モニタリング・評価を行う。
2-1-7.雪崩の影響を受ける可能性のあるその他斜面のための参照資料を取りまとめる。
2-1-8.Eco-DRRに係る関係機関への研修セミナーを実施する。
2-1-9.Eco-DRRを政策・計画に反映させる(気候変動、森林、防災・減災、外部資金獲得に向けた投資計画等)。

2-2.強風被害を受けている景観の修復を設計、支援する。
2-2-1.強風被害を受けている景観の試験地を特定する。
2-2-2.強風によって生じている問題点を特定する。
2-2-3.自然を活用した景観の修復設計を作成する。
2-2-4.利害関係者の意識向上を図る。
2-2-5.土地所有者による修復設計の施工を支援する。
2-2-6.強風被害を受けているその他景観のための参照資料を取りまとめる。

投入

日本側投入

1.短期専門家派遣
2.本邦への研修員受入
3.資機材供与

相手国側投入

1.カウンターパート配置
2.プロジェクトオフィス等の施設及び機材
3.JICAが供与する機材の設置・運転・維持に係る諸経費の負担