私たちの仕事

2018年3月22日

世界中で実施されているJICAの技術協力プロジェクトでは、年に1度「合同調整委員会(JCC)」という会議を、プロジェクトの主要関係者が集まって開催します。私たちのプロジェクトでは、昨年のクリスマス、12月25日に第1回目のJCCを開催しました。プロジェクト開始後半年経ってしまいましたが、初回ですから、関係者全員でプロジェクトの目標や仕組みや具体的な活動について、共通の認識を確認する場ともなりました。

私たちのプロジェクトの目標は、「(キルギス共和国の)チュイ州ソクルク郡及び周辺地域においてEEUの市場要求を満たす生乳生産が増加し、その生産システムが酪農振興政策としてキルギス政府に承認される。」というものです。これをもう少し噛み砕くと以下のようになります。

1)EEU(ユーラシア経済連合)に輸出するために、その基準に適合するように生乳の品質を上げましょう。

2)冬場の生乳生産量を増やすなど、EEU市場への輸出のために生乳の増産を目指しましょう。

3)このような作業を通して構築された生乳生産システムをキルギス政府の政策として反映しましょう。

1)の品質に関しては、乳牛の健康管理、牛舎環境や搾乳作業等の衛生管理、輸送経路上の衛生管理等の仕事があります。

2)の増産に関しては、1頭当たりの年間搾乳量の増加、搾乳できる乳牛頭数の増加等の仕事があります。

3)の政策への反映に関しては、有効なシステムが構築された後、これをこの国に定着させる仕事になります。

このように書いてしまえば簡単そうな仕事に見えるかもしれません。しかし、実際には限られた人材・物質・経済条件でプロジェクト終了後にも現地の酪農家の方々が自力で継続していけるシステムを構築することは、関係する人々や機関の良好なチームワークなくしては実現できません。そのために、どのような日本の技術が役立つのか、調査結果を基に検討や試行を繰り返して選定していきます。そうして特定された技術は実証段階に入り、研修を通じて活動エリア内の酪農家に普及されます。ソ連時代、キルギスは有力な酪農国でしたが、ソ連崩壊後に集団農場等が分割されて農民に払い下げられ、経験の乏しい農民が小規模な酪農を営むようになったために、それまでの酪農関係技術の継承や改善がうまくいきませんでした。独立24年後に当たる2015年にEEUに加盟したことから、その技術規則(基準)への適応が要求されており、目の前の四半世紀のブランクを埋めなければなりません。私たちの仕事は、そのために必要な日本の技術を現地に適応させて、プロジェクト目標を達成することなのです。

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2017年8月に冬季用飼料を調製しました

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人工授精技術の関係者による検討会の様子

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搾りたての生乳で乳房炎の検査をしています

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第1回JCCでプレゼンに見入る出席者一同