MA-SHEPがジェンダーモニタリング調査を実施しました

2022年9月9日

2022年5月~7月にかけて、MA-SHEPでは2つのジェンダーモニタリング調査を実施しました。一つは、第1バッチ及び第2バッチ対象地域において、ジェンダー啓発研修受講後、対象農家世帯にどのようなジェンダー関係性の変化が発現したか、そして、その変化がどのように世帯の収入向上に貢献しているかを確認し、事例として取り纏めるための調査です。もう一つは、第4バッチ対象地域において、昨年12月に実施したジェンダー啓発ToT研修受講後、普及員が対象農家グループに対してジェンダー啓発研修を実施したか、農家グループは研修の目的を理解したか、研修後、対象農家グループ・世帯にどのような変化が発現しているか、などを確認するための調査です。

事例収集のための調査は、各バッチとも全対象県で実施しました。各県2農家グループからそれぞれ10名のグループメンバーを選定し、質問票に基づいた個別インタビューを行いました。第1バッチ対象地域での回答者数は116名(男性57名、女性49名)、第2バッチ対象地域では90名(男性44名、女性46名)です。結果は現在集計中ですが、事例の一部として、調査で収集した男女それぞれの声を以下に紹介します。

「以前の自分は、世帯主としてすべてをコントロールしていた。妻がマーケティングを行うことを認めていなかったし、農作物の販売で得た収入を隠してビールに使っていた。今思うと、妻は何も持っていない中で大変な思いをしていた。MA-SHEPのジェンダー啓発研修は自分にとって良い意味で驚きだった。今では、妻と協力して農業も家事もしているし、収入をどのように使うかも話し合っている。ビールにお金を使うことも止めた。近所の人たちは、食事に薬でも入れられたのではないか、と笑うけれど、自分は気にしていない。なぜなら、自分がこのように変わったことで、家族の関係性が良くなっただけでなく、収入も増えて世帯の発展のために家畜やスプレーヤーを買うことができたから。」(30代既婚男性)

「夫からはよく、結婚の際にお金を支払ってお前をここに連れてきたのは俺だ、と言われてきたので、夫に対して何か意見を言うことはできなかった。夫は園芸作物栽培にあまり積極的に関わっていなかったけれど、夫が不在の時に自分が牛を使って畑を耕すことはできなかったし、作物を売る時になると夫が介入してきて、お金をどう使うか決めていた。自分はただ黙っているしかなかった。でも、MA-SHEPのジェンダー啓発研修の後、夫と話し合うことができて状況が変わった。今では、夫と一緒に園芸作物を栽培するようになり、夫が不在でも牛を使うことができるし、農作物の販売にも関わるようになった。家族として共通のビジョンを持つようになったので、それを達成するためにどのようにお金を使うか家族で話し合うようになった。このような変化によって収入を増やすことができ、牛車、自転車を買っただけでなく、家を建てることもできた。」(50代既婚女性)

MA-SHEPでは、同様の調査を第3バッチ対象地域で9月に行う予定です。

もう一つ、第4バッチ対象地域でのジェンダーモニタリング調査は、2県の県農業事務所職員、4農家グループ(男女メンバー)、そしてこれらの農家グループを担当している普及員を対象にし、チェックリストに基づいたフォーカスグループディスカッションを行いました。こちらも調査結果はまだすべて出そろってはいませんが、普及員は、ジェンダー啓発ToT研修受講後すぐに、対象農家グループに対してジェンダー啓発研修を実施し、フォローアップを行っていました。研修後の具体的な変化を知るには時期尚早ではありますが、すでに変化が発現しているグループやグループメンバーもいることが分かりました。

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男性農家への個別インタビュー(ンチシ県)

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女性メンバーとのフォーカスグループディスカッション(リロングウェ県 Mpitaグループ)