モンゴル・サイガ保護の取り組み

2017年6月2日

モンゴルにはモンゴル・サイガと呼ばれる野生動物がいます。鹿の仲間で、愛嬌のある顔をしています。モンゴルの西部に多く生息し、現在は絶滅危惧種及び保護対象種に指定されているのですが、近年では、サイガの角を目的とした密漁に加え小反芻獣疫(PPR)という感染症がサイガの脅威となっており、約5000頭にまで数が減少しています。

PPRは、動物間で感染する致死率60%とも言われる危険な病気であり、野生動物・家畜を保護するためには早期かつ適切な対策が求められます。モンゴルでは、2016年9月にモンゴル政府によりPPRの国内における発生確認が行われ対策が講じられてきましたが、PPRに関する経験がほとんどないため対策に遅れや漏れが生じたほか、獣医師の間でも混乱となりました。

この状況を打開すべく、5月29日〜31日、モンゴル政府、獣医学関係者、開発パートナー等約50名がウランバートルに集まり、『サイガ及び家畜PPR対策専門家会議』が開かれました。本プロジェクトからもチーフアドバイザーをはじめ3名が出席し、情報・意見交換に協力しました。

本プロジェクトは直接的にはPPR対策には関わっていませんが、プロジェクトの人材育成活動及び本邦研修を通して、当該分野で実践的に活動しリードしていける優秀な獣医師や研究者が育成され、モンゴルが自身の力でPPRに取り組んでいくことが期待されます。

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モンゴル・サイガ(写真出典:Navinder J Singh)

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『サイガ及び家畜PPR対策専門家会議』の様子